自らが作曲したピアノ曲を演奏するという、予約演奏会をこなすことによって、生活の糧を得たいと考えていたようです。
そんな彼が、1782〜83年初頭にかけて、ウィーンの人々の好みを意識して作曲したのが、ピアノ協奏曲第11〜13番の3曲セットでした。
その中で、今日エントリーする第13番は、他の2曲とは異なり、オーケストラにトランペットとティンパニーが加わった、堂々として華やかな作品と位置付けられています。
第1楽章:Allegro
アンダの弾き振りによるこの演奏は、冒頭から若者の颯爽とした風姿を思わせる、きびきびとしたもの!
時に甘酸っぱい感傷や、スリリングな冒険心をも彷彿させる、精彩に溢れた演奏が展開されます!
第2楽章:Andante
穏やかに流れていく音楽は、あたかも小川の流れのよう…。
磨き抜かれた透明感あふれるピアノの音色が、光り輝く水面を思わせる、穏やかな喜びに溢れた演奏です!
第3楽章:Allegro(Rondo)軽やかで愉しげな主題で始まるこの楽章ですが、
突如テンポをアダージョに落とし、短調に転調されて、ちょっとメランコリーで、ノスタルジーに満ちた楽曲が…。
意表を突くようなこの部分は、ウィーンの聴衆へのサーヴィスなのでしょうか。
第9番「ジェノム」と類似した、極めて効果的な書法と感じます!
モーツァルトの希望に満ちた新生活への意欲が伝わってくるような、精彩感溢れる作品を、瑞々しい感性で鮮やかに描ききったアンダの弾き振り、見事だと思います!