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W.A.モーツァルト:ピアノ協奏曲第13番 ハ長調 

ゲザ・アンダ(指揮・ピアノ)
ザルツブルク・モーツアルテウム室内管 


コンスタンツェと結婚して、ウィーンに新居を構えたモーツァルト(1756-91)は、宮仕えの拘束を受けない生活を始めましたが、

自らが作曲したピアノ曲を演奏するという、予約演奏会をこなすことによって、生活の糧を得たいと考えていたようです。

そんな彼が、1782〜83年初頭にかけて、ウィーンの人々の好みを意識して作曲したのが、ピアノ協奏曲第11〜13番の3曲セットでした。

その中で、今日エントリーする第13番は、他の2曲とは異なり、オーケストラにトランペットとティンパニーが加わった、堂々として華やかな作品と位置付けられています。


第1楽章:Allegro

アンダの弾き振りによるこの演奏は、冒頭から若者の颯爽とした風姿を思わせる、きびきびとしたもの!

時に甘酸っぱい感傷や、スリリングな冒険心をも彷彿させる、精彩に溢れた演奏が展開されます!


第2楽章:Andante

穏やかに流れていく音楽は、あたかも小川の流れのよう…。

磨き抜かれた透明感あふれるピアノの音色が、光り輝く水面を思わせる、穏やかな喜びに溢れた演奏です!


第3楽章:Allegro(Rondo)軽やかで愉しげな主題で始まるこの楽章ですが、

突如テンポをアダージョに落とし、短調に転調されて、ちょっとメランコリーで、ノスタルジーに満ちた楽曲が…。

意表を突くようなこの部分は、ウィーンの聴衆へのサーヴィスなのでしょうか。

第9番「ジェノム」と類似した、極めて効果的な書法と感じます!


モーツァルトの希望に満ちた新生活への意欲が伝わってくるような、精彩感溢れる作品を、瑞々しい感性で鮮やかに描ききったアンダの弾き振り、見事だと思います!

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