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J.S.バッハ:トッカータ、アダージョとフーガ BWV564

ウオルフガング・シュトックマイヤー(オルガン)


1708年、若干23歳でヴァイマールで宮廷礼拝堂のオルガニストに就任したのを機会に、この地に滞在中のバッハは、数多くのオルガン曲を生みだしました。

同じ時期に、宮廷の楽団が演奏していたヴィヴァルディをはじめとするイタリアの作曲家の協奏曲に触れて、その新鮮さに心を奪われました。

そんなヴァイマール時代(1708-17)の大きな成果の一つとして、今日エントリーするオルガン曲『トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 』が挙げられます。

イタリアの協奏曲形式を踏襲した、急―緩―急3部から構成される、規模の大きな作品。

形式だけでなく、とりわけ中間部のアダージョに象徴されるように、清々しく明るい空気に満たされてはいますが、

その中に、バッハ特有の壮大な宇宙が凝縮された、大変に内容の深い作品だと思います。


【トッカータ】
シュトックマイヤーの奏する急速なパセージの滑らかな流れは、
次から次へと生成されて、宇宙空間へと飛び出していく流星群を見るようで、
限りないファンタジーをイメージさせる、インスピレーションに溢れた演奏です。

【アダージョ】
敬虔で、哀愁を帯びた美しい音楽は、
紺碧の空のもと、地中海を望む小高い丘に佇みながら、教会から流れてくるオルガンの音色に耳を傾ける、
そんな映像のワンシーンを髣髴しながら聴き入ってしまいます。
後半部に鳴り響く重低音は、天上の神の降臨を思わせる厳かさを感じます!

【フーガ】
問いかけに対して応えるかのようなやりとりで開始され、
興趣が尽きることなく盛り上がっていく、
そんな音楽の愉しさが満喫できる、素晴らしいフーガだと思います!

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