最近聴いたCD

D.ミヨー:スカラムーシュ(2台のピアノの為の)

マーク・タイマノフ&ブルック・リューボフ(ピアノ)


フランスの作曲家ミヨー(1892-1974)は、第1次世界大戦中の1917年、駐ブラジル公使となった作家ポール・クローデルの秘書官としてリオデジャネーロに滞在しましたが、

現地で体験したカーニバルで、サンバの強烈なリズムに惹かれ、瞬時に虜になり、作品化すべく構想を練ったとか!

しかし、サンバのリズムが彼の作品として結実することは容易ではなかったようで、

着想から20年が経過した1937年に、ようやく完成したのが、この「スカラムーシュ」でした。


曲名の「スカラムーシュ」とは、

イタリア古典喜劇の道化役者で、

ほら吹きで皮肉っぽく、

根は臆病なくせに大言壮語癖があり、

そのくせ何かことが起こると逃げ腰になってしまう…

そんな人物とされていますが…


この曲、某フランス人ピアニストによる繊細・精妙な演奏で聴いた時には、別にどうってこともない曲だと思っていました。

しかし、ロシアのマーク・タイマノフ&ブルック・リューボフ夫妻の演奏を聴いた時、

子供の頃、祖父に連れられてよく行った遊園地の催し物の会場で流されていた、おもちゃ箱をぶちまけたように、愉しくって賑やかな音楽を思い出して、懐かしい感慨が蘇ってきました…。

そこでエントリーにあたって、曲の生い立ちが知りたくなって調べたところ、前述したようなことが判った次第です。


第1曲:Vif(元気に、活発に)

前述したように、おもちゃ箱をぶちまけたような、最高に楽しい音楽。

中間部は、無邪気で、ひょうきんで、ヒトを食ったような表情も顔をみせます。

ふと「ペトルーシュカ」を思い浮かべるのは、私だけ?

第2曲:Modere

遊び疲れて無口になってきた子供が、次第にまどろみ始め、やがて夢の世界へと誘われるていく情景を描写したような、愛らしい音楽です。

第3曲:Brazileira(ブラジルの女)

激しいサンバのリズム。

第1と第2ピアノの対話は、おしゃべり好きな女性の会話を描いているのでしょうか。


「ロシアのピアニストが、サンバを?」なのかもしれませんが、ご夫妻の息の合った掛け合いには、ほれぼれします。

私にとっては、懐かしさに繋がる、大変に楽しい演奏でした!

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