久しぶりの休日(とは言っても、サラリーマン時代と比べれば、毎日が休日のようなものですが)、突然ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートが聴きたくなりました。
どうせのことならと、聴き慣れた2種類のクライバー盤よりも、
どんな曲が入っているのさえ記憶にない、R.ムーティ指揮する20世紀最後のニューイヤーを取り出しました。
このEMIの輸入盤、曲名が黒地に小さな金文字で刻印されて一見豪華そうなのですが、
老眼の進んだ私の眼には、文字の形状すらはっきりせず、ルーペで拡大しても判読できません。
シュトラウスファミリーの作品で、音楽を聴いて曲名が浮かんでくるのは、一部の有名曲のみ。
どんな曲が収録されているのか分からないままに、聴き始めました。
拍手で始まり、場内のざわつきが収まらないままに開始されたオープニング曲は、寄せては返す波音を想像させるような、なかなか素敵なワルツです。
ウィーン・フィルが演奏するシュトラウスのワルツですから、独特の愉悦感に溢れるリズムが心地良く刻まれているのは勿論ですが、
その一方で、曲の持つ描写的な側面がかなり強調された、面白い演奏!
海の情景を題材にした作品だろうと感じたのですが、
確信が強まるほどに、自分の感性が正しいのか否かが、確かめたくなってきます。
ヒトの感性は千差万別で、どれが正解、どれが間違いと評価する類のものでないと思いつつも、
ついつい正解かどうかを確かめたくなる、愚かさ…。
曲終了後、早速妻に解読してもらって、「入り江のワルツ」と判明し、
自分の感性が、あながち間違いでなかったと知り、一安心!
常に個性的でありたいと願いつつ、
長い物に巻かれることによって心安らかになる性癖は、昔も今も変わらないようです。
ムーティの演奏に感心しながら、棚からボスコフスキーの演奏を探し出して比較してみると…。
何百曲と存在するのであろう、シュトラウスファミリーのワルツの中に埋もれた一曲、という印象の演奏!
様々な指揮者によるシュトラウス・ファミリーの演奏を聴く楽しみに、ようやく目覚めたように思います。