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F.ショパン:3つの新練習曲 

ルイ・ロルティ(ピアノ)


ショパンの練習曲と言えば、1830-32年にかけて作曲されたop.10と、1835-37年にかけてのop.25の「12の練習曲」(計24曲)が広く知られていますが、

あと1839年に書かれた「3つの新練習曲」という、作品番号の付けられていないものが存在します。

この3曲は、チェコの作曲家・ピアニストだったイグナーツ・モシェレフ(1794-1870)が、ピアノ教本を作るために、親しい作曲家に練習曲を依頼(有名どころでは、ショパン以外にリスト、メンデルスゾーン)し、それに応じて作られた作品とか。

最近耳にする機会が増えてきましたが、中でも第1番なんかは、今日エントリーするロルティの演奏を一度聴いただけで、すっかり惚れ込んでしまいました。


作品番号のついた24曲の練習曲は、いずれもが音楽的に高い完成度を示す作品として認められており、

弾きこなすには高度の技術は勿論のこと、高い芸術性を要すると言われています。

前述した理由から書かれた「3つの新練習曲」についても、同様のことが言えるのでしょう。


【第1番 ヘ短調】

仄暗さの中に揺らめくように、心の灯火が頼りなげに明滅する、そんな儚さを彷彿させる、美しく印象的な音楽です。

テンポルバートを控え目にして、淡々と奏でられるこの演奏は、

繊細さと優美さという点では、群を抜いて素晴らしいもの!

ショパンの隠れた名曲の名演の一つだと思います。


楽譜初版の際の乱丁が原因で、2番と3番がCDによってはまちまちですので、どちらの曲かは調性を確認してください。

【第2番 変ニ長調】

靄の中から浮かび上がるような柔らかく滑らかなワルツのリズム。左手と右手の絶妙なバランスによってもたらされるものでしょう!

夢の中の舞踏会で憧れの人と踊る密やかな喜び!きらびやかさの中に儚さが感じられる、美しい演奏です。


【第3番 変イ長調】

右手が刻む細やかで滑らかなリズムと、左手が奏するゆったりとした旋律。

波長の異なった和音と旋律が醸し出す穏やかさは、高い技術と繊細なバランス感覚がもたらす世界なのでしょうか。

素晴らしいファンタジーが感じられる演奏です!

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