あと1839年に書かれた「3つの新練習曲」という、作品番号の付けられていないものが存在します。
この3曲は、チェコの作曲家・ピアニストだったイグナーツ・モシェレフ(1794-1870)が、ピアノ教本を作るために、親しい作曲家に練習曲を依頼(有名どころでは、ショパン以外にリスト、メンデルスゾーン)し、それに応じて作られた作品とか。
最近耳にする機会が増えてきましたが、中でも第1番なんかは、今日エントリーするロルティの演奏を一度聴いただけで、すっかり惚れ込んでしまいました。
作品番号のついた24曲の練習曲は、いずれもが音楽的に高い完成度を示す作品として認められており、
弾きこなすには高度の技術は勿論のこと、高い芸術性を要すると言われています。
前述した理由から書かれた「3つの新練習曲」についても、同様のことが言えるのでしょう。
【第1番 ヘ短調】
仄暗さの中に揺らめくように、心の灯火が頼りなげに明滅する、そんな儚さを彷彿させる、美しく印象的な音楽です。
テンポルバートを控え目にして、淡々と奏でられるこの演奏は、
繊細さと優美さという点では、群を抜いて素晴らしいもの!
ショパンの隠れた名曲の名演の一つだと思います。
楽譜初版の際の乱丁が原因で、2番と3番がCDによってはまちまちですので、どちらの曲かは調性を確認してください。
【第2番 変ニ長調】
靄の中から浮かび上がるような柔らかく滑らかなワルツのリズム。左手と右手の絶妙なバランスによってもたらされるものでしょう!
夢の中の舞踏会で憧れの人と踊る密やかな喜び!きらびやかさの中に儚さが感じられる、美しい演奏です。
【第3番 変イ長調】
右手が刻む細やかで滑らかなリズムと、左手が奏するゆったりとした旋律。
波長の異なった和音と旋律が醸し出す穏やかさは、高い技術と繊細なバランス感覚がもたらす世界なのでしょうか。
素晴らしいファンタジーが感じられる演奏です!