当日のプログラムは、1曲目は忘れましたが、ラヴェルの『ピアノ協奏曲』を挟んで、メインがサン=サーンスの『交響曲第3番』
ホールに鳴り響いたオーケストラとパイプオルガンの響きに酔いしれ、それだけで充分に満足できたのですが…。
続くアンコール曲は、F.シュミットの「 ノートル・ダム」間奏曲。
メインプログラムの華やかな感動に湧いた興奮が、悲劇的な音楽で鎮められ、場内には緊迫感が漂ったように感じました。
そんな雰囲気を漂わせつつも、更なるアンコールの拍手が鳴り止まぬ中、
突然指揮台に飛び乗ったヤノフスキーが、指揮棒を振りおろした途端に鳴り響いたのが、美しくも華やかな「ファウストのワルツ」!
それは、充分に堪能したメインディッシュの後に出された最高級のデザートを味わう様なもの。
会場全体が大いに盛り上がり、寛いだ満足感に包まれた中、コンサートは終了しました。
この時演奏されたワルツの、活き活きとした華やいだ雰囲気を再現してくれるのが、カラヤン・ベルリンフィルによるディスクです。
曲の開始と同時に、盛り上がりが一気に最高潮に達する、鮮やかな棒さばきの序奏部、
それに続く心が浮き立つ様な二つのワルツ。
スタジオ録音でありながら実に感興が豊かで、カラヤンの類い希なセンスがいかんなく発揮された、超名演だと思います。
無条件に気持を豊かにしてくれる、ここ十数年来、私が折に触れて愛聴しているディスクです。
この曲は『オペラ間奏曲&バレー音楽名曲集』(FOOG 27072)に収載されています。
ただ、グノーの『ファウスト:バレー音楽集(全7曲)』には、この曲は含まれておりませんの で注意して下さい(但し、これはこれで楽しく親しみ易い曲集です)。