最近聴いたCD

シャルル・グノー:
ファウストのワルツ(歌劇「ファウスト」より)

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮  ベルリン・フィル


私がこれまでに体験した演奏会の中で、最高のアンコール曲の演出と感じたのは、フランス国立交響楽団の演奏会。

当日のプログラムは、1曲目は忘れましたが、ラヴェルの『ピアノ協奏曲』を挟んで、メインがサン=サーンスの『交響曲第3番』

ホールに鳴り響いたオーケストラとパイプオルガンの響きに酔いしれ、それだけで充分に満足できたのですが…。


続くアンコール曲は、F.シュミットの「 ノートル・ダム」間奏曲。

メインプログラムの華やかな感動に湧いた興奮が、悲劇的な音楽で鎮められ、場内には緊迫感が漂ったように感じました。

そんな雰囲気を漂わせつつも、更なるアンコールの拍手が鳴り止まぬ中、

突然指揮台に飛び乗ったヤノフスキーが、指揮棒を振りおろした途端に鳴り響いたのが、美しくも華やかな「ファウストのワルツ」!

それは、充分に堪能したメインディッシュの後に出された最高級のデザートを味わう様なもの。

会場全体が大いに盛り上がり、寛いだ満足感に包まれた中、コンサートは終了しました。


この時演奏されたワルツの、活き活きとした華やいだ雰囲気を再現してくれるのが、カラヤン・ベルリンフィルによるディスクです。

曲の開始と同時に、盛り上がりが一気に最高潮に達する、鮮やかな棒さばきの序奏部、

それに続く心が浮き立つ様な二つのワルツ。

スタジオ録音でありながら実に感興が豊かで、カラヤンの類い希なセンスがいかんなく発揮された、超名演だと思います。

無条件に気持を豊かにしてくれる、ここ十数年来、私が折に触れて愛聴しているディスクです。


この曲は『オペラ間奏曲&バレー音楽名曲集』(FOOG 27072)に収載されています。

ただ、グノーの『ファウスト:バレー音楽集(全7曲)』には、この曲は含まれておりませんの で注意して下さい(但し、これはこれで楽しく親しみ易い曲集です)。 

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