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ベーラ・バルトーク:弦楽四重奏曲第2番 

アルバン・ベルク弦楽四重奏団


弦楽四重奏曲第1番が書かれた1908年以降も、ハンガリー各地を回って精力的に民謡を採取していたバルトークでしたが、

1914年に勃発した第1次世界大戦の影響で、それが困難な状況に陥ったために、次第に創作活動に重点を置き始めます。

第2番が作曲されたのは、大戦の最中の1915〜7年にかけてのことですが、

この時期には併行してバレー音楽「かかし王子」や、歌劇「青ひげ公の城」などの舞台音楽が書かれており、

それだけに、困難な世相の中にも、心身ともに充実していたのでしょう!


ロマン派との決別を告げ、無調音楽の影響もみられる、彼の過渡期の作品と位置付けられています。

【第1楽章:Moderate】

提示される動機は、実在感の希薄な、あやふやな印象のもの。

この動機は、明滅を繰り返しながら進行していきます。

ロマン派音楽への決別なのか、あるいはオマージュなのかは判りませんが、

哀しむような、あるいは懐かしむような感慨が、次第にほの見えてきます。

エントリーしたアルバン・ベルク四重奏団の、厳しくも美しい表現は、秀逸!


【第2楽章:Allegro molto capriccioso】

マジャール民族のエネルギーが熱く吹き上がるような、バーバリズムに満ちた情熱的な音楽です!

そんな中にも、静謐さに覆われて爆発させようのない、悲しみの深さが感じられ…。

大変に厳しい、しかし聴き応えのある素晴らしい音楽です!


【第3楽章:Lento】

深い悲しみを感じさせる動機が明滅しながら穏やかに進行していく音楽は、

時代とともに移ろっていくヒトの心情の変化を表現しているいのでしょうか。

そのことは、延いては文化へのオマージュに繋がるのか、それとも…?

ピチカートで消え入るように終わるこの曲…。

第1次世界大戦の最中という時代背景に敏感に反応したバルトークの心情が如実に反映された、大変に含蓄深い作品と思っています。

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