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A.コープランド:クラリネット協奏曲

スタンレー・ドラッカー(クラリネット)
レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル


ジャズ界の名クラリネット奏者・ベニー・グッドマンの依頼によって、1947〜8年にかけて作曲されたもの。

多くのアメリカ人作曲家がヨーロッパ音楽の呪縛を払拭できないでいる中、独自の作曲スタイルを確立したコープランドですが、

この曲ではジャズ的な奏法をミックス。

カデンツォを挟んで2つの楽章が連続して演奏されるこの曲は、20世紀の生んだクラリネット協奏曲の傑作と言われています。


エントリーする演奏は、ドラッカーのクラリネットと、バーンスタイン/ニューヨーク・フィルの演奏です。

初めて聴いた時には、第2楽章でのクラリネットとオーケストラのやりとりに、丁々発止とした即興的なスリリングさが欠けているように思いましたが、

その後、二度三度と聴いているうちに、味わいが深まってきた演奏です。


第1楽章:Slowly and espressively

この曲の大きな聴きどころの一つが、いきなり訪れます!

ハープの爪びきに、そっと寄り添うように弦が加わり、そこにクラリネットによるモノローグが虚空に漂い始める冒頭部は、

思わずため息が漏れるほどの美しさで、一気に曲に惹き込まれていきます。

透明感あふれる弦の響きと、そこに漂うクラリネットの微妙な色彩感の変化によって、

神秘的な、得も言われぬ情緒がを醸し出されていきます。

オーケストラの響きが、。ふっと消え入り、クラリネット独奏による技巧的なカデンツォが開始されると、

気分は一転して饒舌に…、そのまま休みなく第2楽章へと入ります。


第2楽章:Rather fast

ピアノが活躍を始めたオーケストラは、高い、ガラスを叩くような音色で、ジャズっぽい活気に溢れた音楽へと変貌。

ピアノとクラリネットの掛け合いは、やや抑制された印象で始まりますが、

オーケストラが加わるにつれて、次第に丁々発止したやり取りが展開されていき、

最後はクラリネットのグリッサンド…。


私の感性で捉えうる「ジャズ的なノリ」という点では、やや不満は残るのですが、

第1楽章の美しさは、特筆ものだと感じていますので、是非ご体験下さい!、

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