ただ、作品数は決して多くなく、
演奏に難技巧を要するものの、その効果が表面に現れないために大向こう受けせず、
演奏される機会が少ない作曲家とされていました。
激動の時代に生き、作風が大きく変動したため、その創作時期は概ね3つに分けられますが、
今日エントリーするop.10の「ポーランド民謡の主題による変奏曲」は、彼が22歳だった1904年に作曲されたもので、
ショパンやスクリャービンの影響が反映された第1期に分類される作品。
2009年、慟哭生まれのツィメルマンの来日公演では、
J.S.バッハのパルティータ第2番、ベートーヴェンの第32番、ブラームスのop.119と続くそうそうたるプログラムのトリにこの作品が演奏され、大いに注目を集めたものでした。
彼ほどの実力派ピアニストが採り上げる作品、悪かろうはずはないと、誰もが思うことでしょう。
尚、タイトルにある「ポーランド民謡」の出処については、一応調べてはみましたが、不明…。
ご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示いただければ幸いです。
エントリーするディスクは、イギリス生まれのピアニスト、マーティン・ジョーンズによるシマノフスキーのピアノ作品全集(Nimbus Records:CD4枚組)より…。
CDのライナーや、諸兄(姉?)のブログを拝読させていただいても、曲の内容に関する記事を見つけることができませんでしたので、
資料のないままに、刻まれたTrack Noと私の独断.から第○変奏かを推察し、記載していますので、間違っている可能性もありますが、その点はご容赦ください…。
主題提示
ショパン風というか、スクリャービン風というか、煌びやかに彩られた序奏部に続き、対照的に物悲しさを帯びた美しい主題が提示されます。
第1変奏は華やかさの中にも繊細さが、第2変奏は情熱的で力強く、………。
多彩な表情を示しながら10度(?)にわたって変奏された曲は、
第11変奏で大団円を迎えて、力強く華やかに結ばれます。
そんな中で、とりわけ印象的だったのは、第6変奏以降!
第8変奏では、左手が刻む重低音の響きは葬送行進曲、それとも情け容赦なく下される運命の鉄槌?
闇の中でもがきつつも、次第に光明が射し始める第9変奏。
静謐さの中に、至福の喜びが訪れる第10変奏。
歴史上、幾度にもわたって隣国から侵攻された歴史を持つ自国に思いを込めた、シマノフスキーの作品であり、それ故にツィメルマンが敢えて採り上げたのでしょう?
ジョーンズの演奏は穏やかなものですが、シマノフスキ―のメッセージが十分に伝わってきます。
でも、噂に聞くツィメルマンの演奏は、とにかく凄絶だったとか…。
曲の内容を考えると、そんな演奏に遭遇したいものだと思ってしまいます!