最近聴いたCD

アラム・ハチャトリアン:舞踊組曲「ガイーヌ」

ユーリ・テミルカーノフ指揮、 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団


1939年、ソ連邦の第1回芸術旬間でアルメニア共和国はバレーを上演することになり、ハチャトリアンは、そのための音楽を作曲するよう依頼されました。

ロシア革命以降の祖国アルメニアの農民社会を描いたこのバレーは、当初は『幸福』という題名で発表されましたが、後に繰り返し改訂が加えられ(ストーリーも変わったそうです)、

最終的には、コルホーズで働く若い女性主人公の名を採って、『ガイーヌ』と名付けられました。

しかし、現在ではバレーとして上演されることは殆ど無く、

作曲者自身により編まれた3つの組曲から、指揮者が選んだ何曲かが演奏されるというのが実情。

尚、粗筋については、こちらを参照させていただきました。


今日エントリーするテミルカーノフ/ロイヤルフィル盤では、以下の9曲が選ばれています。

第1曲:ゴパック
 ウクライナ地方の民族舞曲の一つ。激しい舞曲と入り混じって、2つの民謡が懐かしく聴こえてきます(曲名は思い浮かびません…)。.

第2曲:剣の舞
 黒海沿岸の南部のクルジスタンの山間に住むクルド族が、出陣に際して踊る戦闘的な舞踏。
嘗て、リズムの強烈なクラシック音楽と言えば、いの一番にこの曲を思い浮かべたものでした!
ついこの前までは「ハルサイ」、最近ではプロコフィエフの「ロメ&ジュリ」でしょうか?

第3曲:アイシャの踊り
 山の娘アイシャの妖艶な踊り。
相手を誘惑しているうちに恍惚となって、官能の高まりは極致に達するような…、そんな音楽。

第4曲:バラの娘たちの踊り
 素朴で愛らしい娘の、快活で豊かな表情が彷彿される楽しい曲。

第5曲:山岳人の踊り
 チューバの咆哮で開始され、叩きつけるようなリズムとエネルギー感の高揚が印象的な、野性味に溢れた曲!

第6曲:子守歌
 我が子をあやすガイーヌの歌。
独奏オーボエに続いて、フルートの奏でるエキゾチックな音色。
優美で、抒情性に溢れた音楽です!

第7曲:
 クルド族の若者たちの踊り
 無骨で野性的な音楽ですが、楽しさに溢れています。後半部のエネルギッシュな盛り上がりが素晴らしい…!

第8曲:アルメンのヴァリエーション
 ヴァイタリティ溢れる情熱と、はぐらかすように力が抜けた音楽との対比は、何を表現しているのでしょうか?

第9曲:レズギンカ
 コーカサス山脈北東部に住むレズギ族の民族舞踊。
小太鼓のリズムに乗って、情熱的な高まりは最高潮に達します。
この曲でも、どこかで聴いた民謡に郷愁を誘われます…。


ハチャトリアンが、郷土アルメニアの音楽を素材として用いたこの作品は、

強烈なエネルギーと、オリエンタルな抒情に彩られたカラフルさが魅力の音楽だと思います!

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