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F.ショパン:ピアノソナタ第1番op.4 

ウラジーミル・アシュケナージ(ピアノ)


ショパンがワルシャワ音楽院在学中の18歳の時に、ソナタ形式を習得する目的で、同学院の指導教官の指示に従って書かれた作品。

若さゆえの未熟さもあったのでしょうが、

曲の構成に束縛されるあまり、独創性が発揮されなかった作品と評価されているようです。

全4楽章を通しての印象は、同じソナタでも第2、3番と比べれば、閃きやファンタジーに乏しいと感じずにはいられません。

それでも、アシュケナージによって弾かれたこの曲からは、随所にショパン特有の美しさは感じられるのですが…。


第1楽章:Allegro maestoso
 冒頭部は厳かですが、その後も曲想が大きく転換されることはありませんので、鬱々とした情熱を抱いたままで解決を先延ばしするショパンの姿をイメージしてしまいます…。
第2、3番ソナタと比べると、正直なところ物足りなさは否めませんが、それでも随所にショパンの抒情が聴き取れる演奏!

第2楽章:Minuetto-Trio
 メヌエットと表示されていますが、何となくマズルカっぽく、ひょうきんさを感じる主部。
トリオ部は憂いとともに、ショパンらしい華やかさと繊細な抒情が垣間見れる演奏です。

第3楽章:Larghetto ノクターン風の繊細で美しい、抒情的な楽章。
「もし、指導教官による構成上の束縛がなければ、どのような音楽が書かれたのか」などと想像するのも一興…。

第4楽章:Presto
 運命に翻弄されるかのように、ただただ激情が突っ走るのみ。
そのせいか、この楽章に関しては冗長さが際立ってしまい、「これがショパン?」と思ってしまいます。


これまでにマガロフとアシュケナージの演奏しか聴いたことがなく、

前述した印象は、曲自体に由来するものなのか、それとも演奏によって解消されるものなのか、私には判りませんので、

もし「これは良いよ!」と推薦いただける演奏があれば、ご教示いただければ幸いです。

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