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R.シューマン:弦楽四重奏曲第1番 op.41-1 

ヴィア・ノヴァ四重奏団


1842年、シューマンは3曲の弦楽四重奏曲に加え、ピアノ四重奏曲、ピアノ五重奏曲、幻想小曲集を集中的に書き上げ、「室内楽の年」と呼ばれています。

1040年にようやくクララとの結婚にこぎつけ、精神的には比較的安定した時期だったのでしょう…。

この頃に書かれた室内楽からは、シューマン特融なメランコリーこそ仄かに感じられるものの、

全体的には瑞々しい幸福感が漲った、独創性溢れる音楽を聴き取ることが出来ると思います。

ようやく結婚が成就した1840年の「歌の年」、1941年の「交響曲の年」も含め、前述した作風が感じられるこの頃の作品には、迸る想像力が横溢していると感じます…。


今日エントリーするのは、フランスのヴィア・ノヴァ弦楽四重奏団による演奏。

ゲルマンの人々の特徴(偏見でしょうか?)の形而上的な表現には拘らず、

全曲にわたって心情や感慨を率直に吐露した演奏ゆえに、難渋さとは程遠い情感に溢れていて、第1番の曲想にピッタリとした演奏だと感じています。


第1楽章:Andante espressivo-Allegro
 親密な囁きを思わせる序奏部に続き、甘美な爽やかさが匂い立つ主題部は、クララとの邂逅によるシューマンの心情を表現した、幸福感に満ちた青春の音楽だと感じます。

第2楽章:Scherzo
 メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の、妖精が飛び回るようなファンタジーの世界!

第3楽章:Allegro
 因果関係は知りませんが、ベートーヴェンの第9交響曲の第3楽章を思い浮かべるような旋律が登場。
人を恋することの至上の幸福感が、崇高さを湛えつつ、歌われていきます。

第4楽章:Presto
 明るく幸福感に溢れた舞曲風の音楽が展開されますが、終結部には遠くから聞こえる教会のオルガンのような響きには、夕べの感謝の祈りを髣髴させるような趣が…!


幸福の絶頂期にあったシューマンの、瑞々しい想像力に溢れた作品だと思います。

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