1040年にようやくクララとの結婚にこぎつけ、精神的には比較的安定した時期だったのでしょう…。
この頃に書かれた室内楽からは、シューマン特融なメランコリーこそ仄かに感じられるものの、
全体的には瑞々しい幸福感が漲った、独創性溢れる音楽を聴き取ることが出来ると思います。
ようやく結婚が成就した1840年の「歌の年」、1941年の「交響曲の年」も含め、前述した作風が感じられるこの頃の作品には、迸る想像力が横溢していると感じます…。
今日エントリーするのは、フランスのヴィア・ノヴァ弦楽四重奏団による演奏。
ゲルマンの人々の特徴(偏見でしょうか?)の形而上的な表現には拘らず、
全曲にわたって心情や感慨を率直に吐露した演奏ゆえに、難渋さとは程遠い情感に溢れていて、第1番の曲想にピッタリとした演奏だと感じています。
第1楽章:Andante espressivo-Allegro
親密な囁きを思わせる序奏部に続き、甘美な爽やかさが匂い立つ主題部は、クララとの邂逅によるシューマンの心情を表現した、幸福感に満ちた青春の音楽だと感じます。
第2楽章:Scherzo
メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の、妖精が飛び回るようなファンタジーの世界!
第3楽章:Allegro
因果関係は知りませんが、ベートーヴェンの第9交響曲の第3楽章を思い浮かべるような旋律が登場。
人を恋することの至上の幸福感が、崇高さを湛えつつ、歌われていきます。
第4楽章:Presto
明るく幸福感に溢れた舞曲風の音楽が展開されますが、終結部には遠くから聞こえる教会のオルガンのような響きには、夕べの感謝の祈りを髣髴させるような趣が…!
幸福の絶頂期にあったシューマンの、瑞々しい想像力に溢れた作品だと思います。