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セリム・パルムグレン:三つの夜想的情景 op.72 

舘野 泉(ピアノ)


フィンランドの作曲家パルムグレン(1878-1951)は、洗練されたピアノ書法と、民族的色彩の濃い抒情的なピアノ作品を中心に残したことから、「北欧のショパン」と呼ばれていますが、

同時に、北欧の季節感を「暑さ寒さ」ではなく、「明るさ暗さ」で繊細に表現されていることから、「光の詩人」とも呼ばれているようです。

私が聴いた彼の作品は、繊細さに加えて、

自然や人と協調するような、温かいまなざしが感じられる親しみやすいものですが、

今日エントリーする後期作品の『三つの夜想的情景』は、ロマン主義的な感覚と印象主義的な書法とが見事に融和した、心洗われるような逸品中の逸品!

それぞれに添えられた副題によって映像的なイメージを抱きつつ、未知の国フィンランドの自然から、まっさらな感動を得ることが出来ました。


第1曲「星はまたたく」
 夜の大自然の中に佇み、見上げる星たちの美しいまたたきが、見事に表現された作品。
都会で眺める星空からは想像すらできない、神秘的で透明感に溢れる、夢のような世界に身を浸すことが出来ます!

第2曲「夜の歌」
 今にも手が届きそうで届かない、そんなじれったく切ない心が、夜のしじまの中で溜め息のように歌われる、趣の深い佳曲です!

第3曲「曙」
 繊細で美しいこの曲を聴いた時には、星の輝きを描写した曲かと思ったのですが…。
副題を目にして、夜明けが近付くとともに、変化していく大気のさまを繊細に表現した音楽と気付きました。

とりわけ第3曲の印象主義的な表現は、私に新しい感性を目覚めさせてくれたように思います。


舘野泉さんによる演奏を集めた「Finnish Piano Music Best Collection 1」に収録されている、曲・演奏ともに素晴らしい一曲でした!

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