ピアノをたしなむ母親のもとで、幼い頃からピアノ演奏に親しみ、青年期にグリーグの作品に感化されたことが、作曲家・音楽評論家の道へと進むきっかけとなりました。
代表作は、スェーデン国内で今も愛好されているという、ピアノ曲集「フレースエーの花々」。
民族的なロマンティシズムに溢れて、親しみ易く美しくいために、
グリーグの「抒情小曲集」にも比べられるような、評価を受けています。
今日エントリーするのは、彼が5曲残した交響曲の一つで、「ラップランド(スカンジナビア半島北部地域の名称)」の副題をもつ交響曲第3番。
同じ北欧の作曲家、シベリウスやニールセンのように、高らかに民族の誇りや歴史を謳った作品とは異なり、
穏やかな自然に囲まれた満足感が繊細に滲み出てくるような、一級の風景画を思わせる交響曲だと感じました。
尚、楽章ごとにも副題が付けられており、馴染みの薄い作曲家を鑑賞する手引きとして、活用させていただきました。
第1楽章:Allegro moderato「遠い過去からの情景」
民謡を思わせる懐かしい音楽で開始される冒頭部は、夜明けを髣髴させる趣が…。
木々のざわめきや、水の滴りが克明に描写され、鬱蒼とした森に漂う気配が表現された、素晴らしい描写音楽と感じます。
第2楽章:Moderato「冬の夕べ」
暖炉のそばで寛ぎながら、窓越しに吹きすさぶ寒風を眺めつつ、厳しい自然を享受するような、そんな悦びが感じられます。
中間部の明るい陽射しを思わせる音楽からは、「冬来りなば、春遠からじ」を連想します。
第3楽章:Lento assai「夏の夜」
星降る夜の静寂に佇みつつ、知らぬ間に宗教的な高まりに惹き込まていくような、そんな法悦感を覚える楽章です。
エンディングには、再び星降る夜のしじまに包まれていきます…。
第4楽章:Con moto[未来の夢]
民族色が感じられる力強い音楽で開始されますが、世俗的なものに宗教的な感慨が入り混じり、
クライマックスに至っては、讃歌を負わせるオルガン的な響きが…。
エンディングでは、人間が静謐な大自然へと溶け込んでいくような、そんな懐の深さが感じられます。
北欧の情緒が味わえる名曲の一つとして、是非ともお薦めしたい一曲です!