ラヴェル20歳代後半の1903-05年にかけて、音楽雑誌のコンクールに応募するために作曲されたものですが、
彼の古典様式への志向が『ソナチネ』という曲名に表現されているとか。
そんな志向が印象派の作品として完璧なまでに結晶化された、逸品中の逸品です!
今日エントリーするディスクは、アンジェラ・ヒューイットによるラヴェルピアノ曲全集に収録されたもの。
その中でもこの『ソナチネ』は、古典様式への志向が強く意識されているからでしょうか、
雅で落ち着いた格調の高い中から、
涼しげな透明感や繊細な美しさが湧きあがり、そしてこぼれ落ちるような、
極上の演奏を聴き取ることが出来ます!
第1楽章(中庸に)は、清らかで澄み切った水の流れを思わせる、涼しげな美しい旋律に溢れた演奏!
一粒一粒の音の穏やかン繊細さには、心が奪われていきます。
第2楽章(メヌエットの動きで)は、格調の高い舞曲のリズムの中に、日溜まりの温もりや大気の輝きが感じられる、これも大変に繊細な表現!
第3楽章(活き活きと)は、技巧的に難度の高いものと言われていますが、
ヒューイットの演奏は技巧を誇示する演奏とは一線を画し、
かつ急流に銀鱗が躍るさまを髣髴するような、瞬間の色彩の変化が鮮やかに表現された、大変な名演奏だと思います。