その後も、伝説的素材に基づいた『エン・サガ』『4つの伝説曲』『カレリア組曲』等を次々と発表しましたが、
1899年に、初めて標題をもたない純粋器楽による交響曲を完成、これに第1番のナンバリングを与えられました。
全4楽章を通じてロマン派の薫陶を受けつつ、幻想的な北欧の雰囲気や大自然の猛々しさが随所に表現されたこの曲は、
同年ヘルシンキでの初演において、熱狂的な聴衆の支持を受けたであろうことは、
曲を一度耳にすれば、容易に想像できると思います。
第1楽章冒頭部は、遠雷を思わせるティンパニのトレモロに乗って、クラリネットが寂寥とした旋律を奏します。
この曲に取り掛かる前年、ベルリンでベルリオーズの『幻想交響曲』を聴いて大きな感銘を受けたと言われていますが、
この冒頭部は、第3楽章『野の風景』と似ているように思うのですが、如何…。
主題部に入ると、広大な拡がりを感じさせる第1主題、ハープに導かれて木管が奏でる、白夜を髣髴とするような幻想的な旋律など、フィンランドの情緒が満喫できる素晴らしい楽章です!
第2楽章は、牧歌的な穏やかさに支配されていますが、時折曲にアクセントを付けるように、大自然の厳しさが垣間見れる音楽が遠くから聞こえてきます。
第3楽章は、ティンパニの荒々しい強打が、素朴で力強い民族的な舞曲を思わせます。
第4楽章序奏部では、第1楽章冒頭部が回想された後、舞曲風の主題部が、吹き荒れる嵐のように力強さを増していきます。
そして強風が雲を吹き払い、満天に星が輝きだすように、万感の思いが込められた第2主題が感動的に登場します!
バーンスタイン/ウィーン・フィル盤をエントリーする理由は、
実は第4楽章第2主題が、際立って感動的に演奏されているからに他ありません。
本流からは少々外れたエントリーですが、この感動を是非聴いていただきたくって…。