そんな無理がたたって心臓病を患い、ロシアで客死。
作曲家としても、ヴァイオリンの名技性を生かし、演奏効果に富んだ作品を生み出しました。
今日エントリーする『夢』は、ロシアへの演奏旅行中、死の2〜3日前から作曲を手掛けたという、唯一のヴィオラとピアノの為の作品。
そんな事実を知ると、
「白鳥の歌が、何故ヴィオラの為の作品なのか?」
「何故、それまでの名技性とは一線を画した、メランコリーな旋律美に溢れた作品を書いたのか?」
これらの興味深い事実に関する洞察は、ライナーには一切触れられていません…。
ただこのような、類稀な美しい旋律を有する曲を聴いていると、多分どなたもが同じような解答を想像されるだろうと思います…。。
孤独感が漂うピアノの伴奏と、それを受け継ぐ寂寥としたヴィオラの独白によって、曲は開始されます。
中間部は、過去の想い出が次々と湧きおこり、胸に迫りくるような趣の素晴らしい音楽です。
冒頭主題が再び出現し、諦観にも似た静謐な心境を示しながら、静かに曲は閉じられます…。
今井信子のヴィオラの中間色の温かい音色と、ローランド・ペンティネンの繊細なピアノの表情は、曲の持つ奥深い高貴さを余すところなく表出した、瞠目すべきすべき演奏!
武満徹の“A Bird came down the Waik”
,シベリウス初期の「ロンド(ピアノとヴィオラの為の)」など、聴き応えのある作品が収録されています(BIS-CD-829)。
一聴を強くお薦めしたいディスクです!