軽快、軽妙で趣味が良く、
ユーモアとアイロニーと知性に溢れた、機知に富んだ音楽として評価されています。
ところで1942〜43年にかけて作曲されたこの作品は、
20世紀スペインの詩人であり劇作家でもあり、
そのリベラルな作品や言動の為に、1936年にフランコ政権によって銃殺された、友人のフェデリコ・ガルシア・ロリコを偲んで書かれたとされています。
そのせいか、この曲には洒脱さの中にどこか重苦しい雰囲気が感じられるのです…。
第1楽章は、パリの華やかな表舞台で繰り広げられるレビューを見るような、颯爽とカッコいい音楽ですが、
その中に切なさや溜め息が漏れ聞こえるようで、まるでロートレックの絵のように、様々な人生模様が描かれていると感じられます。
第2楽章は大都会の裏側、暗闇の街かどに漂う、饐えた臭いを思わせるような音楽…。
やはり、踊り子たちの舞台裏での表情を描いた、ロートレックの作品を髣髴します。
第3楽章は、再び華やかな表舞台を思わせる音楽で開始されるのですが…、
運命の鉄槌が振り下ろされて、息絶え絶えな音楽へと変化するさまは、フランコ政権が下した暴力的な制裁を意味しているのでしょうか。
最後は、皮肉っぽい哄笑を思わせる音楽で、曲は終了します。
第2次世界大戦のさなかに書かれた音楽だけに、大変に辛辣な内容に覆われた作品なのですが、
それでも、コーリャ・ブラッハーのヴァイオリンとルサージュのピアノによるこの演奏からは、
フランス的なエスプリが発散された、素晴らしい音楽を聴き取ることが出来るのです!