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J.ハイドン:チェロ協奏曲第1番 ハ長調   

アンナー・ビルスマ(チェロ)
ジーン・ラモン指揮  ターフェルムジーク・オーケストラ


ハイドン(1732-1809)の作品として現在聴かれるチェロ協奏曲は、僅かに2曲。

104曲の交響曲、83曲の弦楽四重奏曲、50曲に余るピアノソナタと比べると、彼の作品としてはメジャーな分野とは言えません。

今日エントリーする第1番ハ長調は、30歳代半ばに作曲されたもので、

独奏チェロがアンナ・ビルスマ、

1979年にカナダで結成されたターフェルムジーク・オーケストラという、オリジナル楽器を使用したグループによる演奏です。


Wikipediaによると、弦5部(低音にチェンバロを重ねる場合あり)とオーボエ2、ホルン2を加えた編成ですが、

このディスクではどうやら管楽器は使用されていないようですが、

その分を、独奏チェロがこれら管楽器の音色を十全に表現していると思えるほどに活躍していて、実に精彩に溢れた味わい深い演奏が展開されています…。

これも、ハイドンのユーモアなのでしょうか?

ただ、国内盤のライナーには、そのことについて一切触れられていないのは、ちょっと不親切…。


第1楽章は、たおやかで瑞々しいヴァイオリンの精彩感に満ちた透明な音色と、

前述した独奏チェロの、ホルンやオーボエ、さらにはバスーンをも髣髴させる多様な表現力からは、

ハイドンを演奏する(or聴く)愉悦感が、十二分に伝わってきます…。


第2楽章は、高雅で、時代を超越した不思議な雰囲気が漂います。

私の知るハイドンの作品中で、最も美しい楽章だと思っています。


第3楽章は、スピード感に溢れた颯爽とした音楽!

一抹の哀愁を漂わせた、一種の男の美学のような感情表出がなされた音楽と感じられます。


ゲーテを中心にドイツで勃興し始めた文学運動(疾風怒濤)に触発され、創作者個人の際にウや感情を強調し始めた頃に作曲された時期に書かれたとされる、この協奏曲!

古今のチェロ協奏曲の中でも高い人気を誇る理由が、ビルスマの演奏でようやく理解できたように思います。

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