最近聴いたCD

R.V.ウィリアムズ:
組曲『すずめばち』(アリストファレス組曲))   

サー・エードリアン・ボールト指揮  ロンドン・フィル


この曲は、ケンブリッジ大学の演劇サークルが、

古代ギリシャの喜劇作家・風刺作家のアリストファネス(紀元前446-385)の『蜂』を上演するために、劇付随音楽を依頼したもの。

日本では、組曲『すずめばち』or原作者の名を採って『アリストファネス組曲』とも呼ばれ、

「序曲」「間奏曲」「台所用具の行進」「間奏曲」「バレーと最後のタブロー(活人画)」の5曲から構成されています。


原作の内容も、曲が使われる場面設定も全く知らないのですが、

「すずめばち」または「むずかし屋」ということらしく、多分風刺的な内容の原作であろうと考えています。


第1曲「序曲」冒頭部は、すずめばちの羽音を思わせる音楽で開始されます。

それに続いて勇ましくも懐かしい民謡風の旋律が奏され、

その後はヴォーン・ウィリアムズらしく、イギリスの田園風景を思わせる牧歌的な抒情を湛えた音楽が、展開されていきますが、

時折、民謡風のコミカルな音楽が聞こえてくるのは、この「むずかし屋」の性格を表現しているのでしょうか。

なかなか楽しい音楽だと思います。

第2曲の「間奏曲」は、してしめやかな音楽…。


「台所用具の行進」という奇妙なタイトルが付けられた第3曲は、

チーズを盗み食いした犬を裁くために、陪審員(=台所用具)のお歴々が、入廷する場面を描いているとか。

なんともおどけた、ユーモラスな音楽です。


第4曲「間奏曲」は、晴れやかで、堂々としていて、誇らしげで…。

最後は夢みるように、静かに消えていきます。


第5曲「バレーと最後のタブロー」は、

しずしずと厳かに民謡的な抒情を湛えながら開始されますが(日本の民謡を髣髴!)、

急速に勇ましい舞曲へと高まりますが、

最後は動きがフリーズするように、ユーモラスに終わります…。


ちょっと気どったユーモアが感じられる、V.ウィリアムズのこの作品。なかなか味のある佳曲だと思うのですが…。

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