東京を中心とした中央の楽壇で正統的な西洋音楽を学んだわけではなく、
早坂文雄や三浦敦史とともに札幌の地で、ほぼ独学で作曲家として功を成した人。
日本的な音楽を追求した民族主義的な作風ですが、
どちらかと言えば、映画『ゴジラ』のテーマ曲を作曲した人としての方が、お馴染みかと思います…?
今日エントリーする『交響譚詩』(譚詩=バラード)は、
蛍光塗料を研究中に放射線障害により逝去した次兄を追悼するために1943年に作曲されたもので、
日本ビクター主催のコンクールで優勝、そのSPレコードは、同年度の文部大臣賞を受賞しました。
全2曲ともに、今は失われてしまった懐かしい日本的な抒情が浸み渡った佳曲だと思います。
演奏は、広上淳一指揮するスェーデンのマルメ交響楽団による演奏。
遠い北欧のオーケストラによる演奏を愛聴する理由は、
その響きに、おそらく日本という異文化への憧れのような感慨が込められているように感じられて、得も言われぬ情感が漂っていると思うからです。
激しいリズムが主となる第1譚詩。
日本のオーケストラの、大太鼓のバチ捌きを感じさせる演奏も味わい深いものですが、
このディスクでは、たなびくように奏される日本的な叙情が、憧れを伴なって奏されるのが印象的!
第2譚詩では、夜の静寂の中、段々と近づいてくる祭囃子の響きに、郷愁が湧きあがる趣の曲であり、演奏だと感じました