最近聴いたCD

G.F.ヘンデル:合奏協奏曲op.3-1   

トレヴァー・ピノック指揮  イングリッシュ・コンサート


バッハと同年に生まれたヘンデル(1685-1759)は、嘗ては「音楽の父」バッハに対抗するかのように「音楽の母」と呼ばれ、

学校の音楽室の壁に飾られた肖像画も、バッハの隣に位置し、著名な大作曲家とされていましたが、

すぐに思い浮かぶ曲といえば、「ハレルヤ・コーラス」とスポーツの表彰式でBGMとして流される「見よ、勇者は帰る」、

あとは20年ほど前に国産ウィスキーのCMでブレークした「オンブラ・マイ・フ(懐かしい木陰よ)」くらいでしょうか。

オペラやカンタータといった劇場用の音楽を中心に作曲していたため、そのジャンルを聴くことがない私には、ビッグネームであるにもかかわらず、馴染みの薄い作曲家の一人でした。


今日エントリーする合奏協奏曲op.3は、自作のオペラやオラトリオを上演する際に、冒頭や幕間に演奏するために書いた曲を、ランダムに寄せ集めて曲集としたもの。

ヘンデルがイギリスの王の支持を受けて開いていたオペラ企業に対立団体が出現し、上演機会が減少して経済的な困窮に立たされたために、資金集めを目的に出版したのでした。

そのために、曲集としてのまとまりは今一つかなとも感じるのですが、

その中で、ピノック指揮するイングyリッシュ・コンソートによる第1番、とりわけ第2楽章(Largo)は、極めて印象的な音楽!

バロック・フルート(トラヴェルソ)の牧歌的な響き、

蒼穹に吸いこまれそうに冴え冴えと響くオーボエや、

どこまでも透明なヴァイオリンの音色…。

ヘンデルという作曲家の魅力の一端を垣間見たような音楽でした。

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