『異国の鳥たち』(1956年)は、同時に棲息することのないインド、中国、マレーシア、カナリー諸島、南北アメリカなどで採譜した47種類の鳴声と、
ギリシャ、インドの19種類のリズムが、スコアにコラージュされた作品(ライナー・ノートより)。
メシアンの意図を推測することは叶いませんが、
『鳥たちの目覚め』は、彼が聴き取った本物の鳥の声だけで書かれているのに対し、
『異国の鳥たち』では、それを発展させて、雷雨などの自然現象とそれに反応する鳥たちの反応が描かれています。
敬虔なカトリック教徒であったメシアンは、
神の創造した大自然と、鳥たちとのコラボレーションをテーマに描こうと意図したのでしょうか、
壮大なポリフォニーによるドラマが展開されており、聴き込むほどに、神の創造物である大自然を讃える、趣深さを感じるようになりました。
管・打楽器のみが中心となり、弦楽器が全く使われていないことと、
前述したように19種類のリズムがコラージュされているせいか、
熱帯的な印象が色濃く感じられるのですが…。
サロネン指揮するロンドン・シンフォニエッタの、シャープな色彩感に溢れた演奏は素晴らしいと思いますが、
中でも、ピアノ・ソロを弾くポール・クロスリーの、活き活きとしたきらびやかな色彩感溢れる演奏は、特筆もの!
20世紀の前衛的な音楽に分類されるのでしょう、
私自身も、最初は全く受け容れることができないできませんでした。
信仰心など微塵も持ちあわせていない私ですが、
何度か聴いているうちに、そのシンプルな親しみ易さに馴染みつつ、音楽の純粋さに惹き込まれていった次第!
もっと高い評価を受けて然るべきだと思える、20世紀の生んだ作曲家の一人だと思います。