1861年、ブラームスが28歳の時に作曲され、同年末にクララ・シューマンのピアノによって初演されました。
演奏効果と音楽的な内容が調和した、ブラームスの傑作として、高く評価されています。
今日エントリーするのは、ジュリアス・カッチェンが1962年に録音した演奏。
冒頭の主題は、ハープシコードの音色を髣髴とさせる繊細で雅やかな音色で、これまで殆ど聴いたことがなかったこのピアニスト世界に、瞬時に惹き込まれて行きました。
活き活きと跳躍する第1変奏、
やや翳りを帯びた第2変奏、
いかにもブラームスらしい密やかな喜びが伝わってくる第3変奏、
力強く前進する第4変奏、
一転して郷愁にかられるような第5変奏等々…
第11〜12変奏からはファンタジーすら感じられますし、
第13変奏での厳格さや、
その後ハンガリーの舞曲を思わせたり(第13変奏以降は、数えられませんでした、陳謝!)と、
リズムや打鍵が見事にコントロールされているからなのでしょうか、
奇を衒うことのない実直な印象が好ましく感じられる演奏ですが、
各変奏の多彩な表情には、完全に魅了されました!
繊細さと力強さが交錯しながら盛り上がるフーガ部は、圧巻!
心の奥深く充足感に満たされていくような、素晴らしい演奏です!
アメリカ生まれのテクニシャンとの評価を聞いて、自分勝手に技量に偏重した演奏を予測していたのですが、
思いがけずも(?)、スマートさと聴き手を魅了する穏やかさに支配された理知的な演奏を耳にして、
このピアニストの演奏を、もっと聴きたくなりました。