知る人ぞ知る名曲として、高い人気を誇っています。
しかし、それ以前に書かれた5曲については、それほど評価されているとは思えず、
発売されているディスク数も少ないようです。
今日エントリーするミサ曲第2番は、シューベルトが18歳の1815年に作曲されたもので、僅か6日間で書き上げられたと言われています。
通常のミサ曲と同じく、キリエ、グロリア、クレド、サンクトス、ベネディクトゥス、アニュス・デイの6曲から構成されていますが、
全曲演奏しても20分程度の短いもの。
クルト・ヴァイル指揮するエイジ・オブ・インライトゥンメントという古楽器集団による演奏では、
ピリオド奏法を用いずに、現代楽器と同じように演奏されているからでしょうか。
響きのしっとりとした感じが耳に心地よく響き、
素朴で鄙びた味わいが感じられます。
女声部のソリストに、ウィーン少年合唱団員が起用されていることも、
この作品の素朴な曲想、それに古楽器の音色とよく合致し、
好ましい演奏に仕上がっている理由ではないでしょうか。
その印象的な歌唱を列挙すると…
第1曲「キリエ(哀れみの讃歌)」の中間部の、愛おしげな表現
第2曲「グロリア(栄光の讃歌)」での、晴れやかな喜びに溢れた歌唱
第5曲「ベネディクトス(感謝の讃歌)」での、天上に遊ぶような、無邪気で清らかな歌唱
第6曲「アニュス・デイ(平和の讃歌)」でのオーケストラ伴奏は、
モーツァルト『レクィエム』の「涙の日」を思わせる、すすり泣くような音楽ですが、
その伴奏に乗って歌われる声の、純朴で清らかなこと!
宗教的なしきたりには囚われない、神への素直な気持が表現された曲だと思えるような、一聴をお薦めしたい演奏です。