最近聴いたCD

F.シューベルト:ミサ曲第2番 ト長調 D167  


クルト・ヴァイル指揮  エイジ・オブ・エンライトゥンメント他  


シューベルトのミサ曲といえば、最晩年に書かれた第6番が圧倒的に高い評価を得ており、

知る人ぞ知る名曲として、高い人気を誇っています。

しかし、それ以前に書かれた5曲については、それほど評価されているとは思えず、

発売されているディスク数も少ないようです。


今日エントリーするミサ曲第2番は、シューベルトが18歳の1815年に作曲されたもので、僅か6日間で書き上げられたと言われています。

通常のミサ曲と同じく、キリエ、グロリア、クレド、サンクトス、ベネディクトゥス、アニュス・デイの6曲から構成されていますが、

全曲演奏しても20分程度の短いもの。

クルト・ヴァイル指揮するエイジ・オブ・インライトゥンメントという古楽器集団による演奏では、

ピリオド奏法を用いずに、現代楽器と同じように演奏されているからでしょうか。

響きのしっとりとした感じが耳に心地よく響き、

素朴で鄙びた味わいが感じられます。

女声部のソリストに、ウィーン少年合唱団員が起用されていることも、

この作品の素朴な曲想、それに古楽器の音色とよく合致し、

好ましい演奏に仕上がっている理由ではないでしょうか。


その印象的な歌唱を列挙すると…

第1曲「キリエ(哀れみの讃歌)」の中間部の、愛おしげな表現

第2曲「グロリア(栄光の讃歌)」での、晴れやかな喜びに溢れた歌唱

第5曲「ベネディクトス(感謝の讃歌)」での、天上に遊ぶような、無邪気で清らかな歌唱

第6曲「アニュス・デイ(平和の讃歌)」でのオーケストラ伴奏は、
モーツァルト『レクィエム』の「涙の日」を思わせる、すすり泣くような音楽ですが、
その伴奏に乗って歌われる声の、純朴で清らかなこと!


宗教的なしきたりには囚われない、神への素直な気持が表現された曲だと思えるような、一聴をお薦めしたい演奏です。

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