最近聴いたCD

J.シュトラウス2世:ワルツ『ウィーン気質』  

フリッツ・ライナー指揮  シカゴ交響楽団


以前から興味を抱いていたディスクに、F.ライナー/シカゴ交響楽団の演奏する「ウィンナ・ワルツ集」があります。

20世紀が生んだ大ソプラノ歌手エリザベート・シュヴァルツコップが、「無人島に持っていきたい1枚は?」に応えて挙げたという、いわくつきのディスクです。

以前、同じハンガリー出身のオーマンディによるR,シュトラウスの『ばらの騎士』のワルツを聴いて、ウィーン訛りのない、純粋無垢なストレートさに感動したことがありました。

ですから、シュヴァルツコップの言葉と併せて、「ハンガリーの指揮者は、ワルツに関して独特の嗅覚を持っているのかも…」とか、

「あの謹厳実直で厳つい演奏をするオッサンの振るワルツが、名歌手を感動させるとは、一体どんな…」と、あれこれ想像を巡らせていたものです。


念願かなって、昨日初めて聴いた次第ですが、その中からJ.シュトラウス2世の『ウィーン気質』をエントリーします。

この曲は、1872年にシュトラウス2世がアメリカ大陸へ演奏旅行へと旅立つにあたり、

陽気で明朗で、優雅な感傷性を愛するウィーンの人々の気質を、音楽によって紹介する意図をもって書かれたとか…。


良い意味で、「シュトラウスの音楽には、こんな側面もあったのだ!」と、思わず唸るような演奏でした。

その前奏部は、研ぎ澄まされた弦によって奏でられる、清冽さ極まる透徹した美しさ!

あまりにも透徹した美しさに、思わず目頭が熱くなってしまいました。

シュトラウスの旋律から得た初めての感慨で、こんな体験ができただけでも、聴いた甲斐がありました!


前奏部に続くワルツは、ウィーン風のリズムにおもねる様子など微塵も感じられない、潔いまでに明確でシンフォニックなもの!

ニュー・イヤー・コンサートでお馴染みの独特の揺れなどは、一切感じられません。


オーマンディの演奏とは、明らかにアプローチが違いますし…。

このワルツのリズムをを受け容れられるか否かで、評価は大きく変わってくると思います。

シュヴァルツコップの発言の中の一部だけが独り歩きして、手放しで称賛しているかの如くに伝えられている、

それが実情のように思えます。

私も時間をおいて、あらためて一から聴き直してみたいとは思いますが…。

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