最近聴いたCD

F.ショパン:バラード第2番 op.38 

サンソン・フランソワ(ピアノ)


ショパンが20歳代の後半に読んだ、ポーランドの詩人アダム・ミツキエヴィッチ(1798-1855)の詩に触発され、

その印象を作品化したと言われています。


詩の内容は、

夜になると湖上に現われ踊る乙女たちに、少年たちは誘惑されて一緒に踊り始めますが、

彼女らの魔性に気付いて必死に逃れようとしますが、

力尽きて、深い水底へと引きずり込まれていく…。

あくまでも詩から得られたインスピレーションをもとに作曲されたもので、

内容をそのままを描写した作品ではありませんが、

そんな物語をイメージしながら聴くのも、一つの方法でしょう…。


この曲には、私が聴いただけでも、数多の素晴らしい演奏がありますが…

中でも、瑞々しく美しいアルペジオの海から湧きあがる内声部に、壮大なロマンが感じられるキーシン盤…

磨き抜かれた響きから生み出される天上的な静謐さと、類稀な緊張感が素晴らしいポリーニ盤…


ただ第2番に関しては、麻薬的とも思える不思議な陶酔感を覚える、フランソワ盤がお薦めかと思います。

全4曲のバラードの中では、内容が掴みにくく感じられるこの曲は、

緊張をはらんだ静謐さが、

狂気にも似た感情へと高まり、

やがてが収束していく…

そんな曲想に、最も合致していると思えるからです。

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