これまでプールされていた低濃度汚染水を海に流すことによって不足するスペースを確保し、
高濃度なそれをプールせざるを得ないという、苦渋の決断を迫られることになりました。
魚介類を始めとする海産物にも多大な影響を及ぼすことになるでしょうが、
せめて日本の消費者は、安全性が保障される範囲において冷静な対応を示すことによって、
世界をパニック状態に巻き込むことだけは、何としても避けねばならない、
それが、現在の日本に課せられた責務ではないでしょうか。
そんなことを考えながら、今日はシフのピアノで、1991年に録音されたバッハのフランス組曲を幾つか聴いていました。
右手と左手の音のバランスが見事にとれているからなのでしょうか、
高貴さの中に、繊細で温かい音色が息づいた、大変に美しい演奏です。
そして、形式の中で情感が密やかに花開くような落ち着きに、心が穏やかに癒されていきます。
そんな演奏の中から、第1番をエントリーします。
第1曲「アルマンド」は、あまりに清涼な音の流れと、その中から聞こえる清らかな旋律の美しさに、ふと涙が滲んできます。
第2曲「クーラント」での、左右の闊達な音の対話は、励ましながら歩むような趣…
第3曲「サラバンド」は、祈りのような瞑想と、悲しみに寄り添うように穏やかな静謐さが漂よいます…。
第4曲「メヌエット」の1は愛らしい無邪気さが、
そして2は愛らしい静謐さの感じられる、どちらもチャーミングな曲。
第5曲「ジーグ」は、愉しくスキップするような晴れやかな音楽…。
先妻の死後、1721年12月に新妻アンナ・マグダレーナを迎えたバッハが、
その翌年作曲したと言われる、幸福感に満ちたフランス組曲第1〜5番(第6番は、少し後に書かれたとか)、
中でもこの第1番は、今の私の心境にとっては、かけがえのない癒しの音楽と感じられます。