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A.ドヴォルザーク:交響曲第7番  

ラファエロ・クーベリック指揮  ベルリン・フィル


1884年、既に国際的名声を確立しつつあったドヴォルザークは、ロンドン・フィルの招きによって自作『スターバト・マーテル』等を指揮するために初めて渡英、

熱狂的な歓迎を受け、コンサートも大成功を収めました。

大いに自信を深めて帰国した彼のもとに、フィルハーモニーの名誉会員に推挙された旨と、新作の交響曲を依頼する連絡が舞い込みました。

前年、ブラームスの交響曲第3番の初演を聴いて感動し、自身も新たな交響曲に意欲を燃やしていたこともあって、この申し入れを承諾。

直ちに創作に取り組んだドヴォルザークは、

翌年4月には、完成した新作交響曲を自ら指揮するために渡英し、再び大成功を収めました。


曲は汎スラヴ的な旋律を有しつつも、

ドイツ的と言われる楽曲構成をもった内省的な音楽に仕立てられ、

作曲者自身も「本格的な交響曲」と自負した自信作(Wikipediaより)。

個人的な趣味ですが、

ドヴォルザークらしい密やかな美しさに溢れた密度の高い作品という意味で、交響曲第8、9番やチェロ協奏曲よりも、現在では愛聴するようになりました。


曲が好きな分、良いと思える演奏も数多く、エントリーするディスクについては悩みました。

その中でも、C.ドホナーニ/クリーブランド盤の、木管や(特に)ホルンの美しさが際立った演奏も捨て難い味わいを有するのですが、

第3、4楽章の民族的な情熱に溢れた演奏という点で、クーベリック/ベルリン・フィル盤を挙げることにします。


第1楽章は、遠雷を思わせるティンパニの響きに乗って奏される第1主題は、土地に秘められた歴史を回想するような趣を有したもの。

ほのかな憧れを感じさせる第2主題とが絡みながら、趣き深い味わいを紡いでいきます。

第2楽章は親しみ易く、かつ懐かしさが感じられる音楽。幼い頃(昭和20〜30年代)、家々の台所から立ち昇る夕餉の支度の煙の匂いが漂うようです。

中間部、ホルンが奏でる牧歌的な旋律の美しいこと!

第3楽章は、チェコの民族舞曲フリアントのリズムに乗って歌われる、甘酸っぱい憂愁漂うメロディにも、言いしれぬ懐かしさが感じられるのは、何故なのでしょうか…。

第4楽章冒頭は、民族の味わった苦悩を思わせるような重苦しさで開始されますが、やがて力強さを増し、穏やかさの中にも勝利へ向かう高揚感を漲らせていきます。

聴き込むほどに郷愁が高まる味わい深い曲であり、演奏だと思います。

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