最近聴いたCD

D.ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第4番 

ボロディン弦楽四重奏団


1949年に完成された弦楽四重奏曲第4番ですが、

その前年、ソ連共産党中央委員会書記のジダーノフは、社会主義リアリズムに反する抽象的で難渋な作風の作曲家を糾弾するために、

芸術統制を意図した制度を強化していました(ジダーノフ批判)。

そのため、批判を恐れたショスタコーヴィチはこの曲の初演を遅らせ、完成してから4年後、スターリンの死によって、ようやく世に問う決意を固めました。


この時期のショスタコーヴィチは、オラトリオ『森の歌』や『革命詩人による10の詩曲』、あとはソ連当局が制作した映画に音楽をつけるという風に、

明らかに社会主義リアリズムに基づく作品を中心に作曲し、当局からの批判を避けるべく、無難な作曲活動を行っていたようです。


ところで、当局からの批判を恐れて初演を延期した弦楽四重奏曲第4番!

第1楽章は、華やかなのですが、一場の夢と化すあだ花のような曲…。
体制への揶揄とも解されるような…

第2楽章は、知的瞑想に耽るような高尚で意味深い音楽と思えますが、
観点を変えれば、単にナルシシズムに浸っているようにも聴き取れます。
こういった点は、ショスタコーヴィチの音楽の持つアイロニーなのでしょうし、私には大きな魅力と感じられます。

第3楽章の気持が浮き立つような突き抜けた陽気さに、
反面、思慮の足りない浅薄な実態を感じてしまったり…。

終楽章の民謡風の舞曲を思わせる激しいピチカートで始まりますが、
途中嗚咽するように曲想が変わり、
そして余韻がたなびくなか、静かに曲は収束…
シリアスなエンディングです!


ボロディン弦楽四重奏団!最近になって、ようやく彼らの演奏の面白味が分かってきたように思います。

ホームページへ