最近聴いたCD

武満 徹:さくら(日本古謡)他11曲 

関屋 晋 指揮   晋友会合唱団


今朝は-10℃と冷え込み、我家の周囲も未だ雪景色ですが、

日中の陽射しが日に日に強まってきたせいか、陽だまりに椅子を置いて音楽を聴いていると、春の到来が間近に感じられます。

最近、十数年ぶりにプリアンプとパワーアンプとを繋いでいたインターコネクトケーブルを取り替えたために、

エージングも兼ねて、普段あまり取り出す機会のないCDを聴いています。


武満徹:「混声合唱のための(うた)」

このCDの冒頭に収録されている『さくら』(日本古謡)。

さくら さくら やよいの空は 
見渡すかぎり 霞か雲か 
匂いぞ出ずる いざや いざや 
見に行かん…

武満氏の編曲によってソプラノ・アルト・テノール・バスのアカペラで歌われるこの曲、

各声部の色彩が微妙に異なっているからでしょうか、

空間に漂う艶やかで美しい響きには、どこか儚さが感じられて、

さながら幽玄の世界に包みこまれたような感慨が…、

編曲物ですが、武満ワールドを満喫させてくれる素晴らしい音楽です!

晋友会合唱団の繊細な表現にも惹かれて、収録されていた12曲全てを聴いてしまいました(と言っても、40分弱ですが…)。


他にも、「小さな空」「死んだ男の残したものは」(谷川俊太郎:詞)なども傾聴させてもらいましたが、

中でも「さようなら」(秋山邦春:詞)の極限まで純化された曲の美しさには、思わず涙してしまいました。

この曲、Wikipediaを見ると、1952年に作曲された武満氏最初の声楽曲のようですね…。

ポピュラー的な親しみ易さの中に、凛とした格調が感じられる、素晴らしい曲集だと思います。


(P.S.)
ライナーを読んで知ったのですが、この合唱団ってアマチュァなんですね。驚いてしまいました!

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