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R.シュトラウス:ホルン協奏曲第1番 op.11 

ラルス=ミヒャエル・ストランスキー(ホルン)
アンドレ・プレヴィン指揮  ウィーン・フィルハーモニー管


R.シュトラウス(1864-1949)は、ミュンヘン宮廷管弦楽団の著名なホルン奏者であり、同音楽院の教授でもあった父フランツの薫陶を受けて、ホルンという楽器を熟知していたのでしょう。

2曲のホルン協奏曲を書きましたが、作曲年代は大きく異なり、

第1番は作曲者18歳の1883年に、第2番はそれからほぼ60年後の1942年に完成されたものです。

若い頃のシュトラウスは、ワーグナーの牙城ミュンヘンで敢然と反ワーグナーを貫いた父や、ブラームスを擁護した指揮者ハンス・フォン・ビュロー、それにブラームス本人からも直接の影響を受けて、

形式を重んじる保守的な作品を書きましたが、

その一方で、ベルリオーズ、リスト、ワーグナーの標題的な傾向を持つ作品に強い興味を示し始め、

その影響はop.16の交響的幻想曲『イタリアから』(1886年)、op.20の交響詩『ドン・ファン』(1888年)以降の作品群に結実していきます。


op.11のホルン協奏曲第1番の方は、未だリストやワーグナーに感化されていない頃に書かれた作品です。

保守的な形式に準じてはいますが、

青雲の志を抱く若きシュトラウスの溌剌とした心境が、ホルンの伸びやかな音色によって颯爽と語られているように感じられれる佳曲。

第1楽章冒頭は、オーケストラが奏でる堂々たる和音に続く独奏ホルンの響きは、青春の旅立ちを思わせる初々しさ!
主部に入ってのホルンと弦楽器との対話では、後の交響詩にも繋がる、感性の瑞々しさが伝わってきます。

切れ目なく続く第2楽章は、夕闇が迫るひとときに、甘く切ない感傷に浸る若者の姿を思い浮かべます。
柔らかく朗々とした独奏ホルンを支える、弱音で小刻みに震える弦の響きの美しさは、まさにウィーンフィルの真骨頂!

明るく楽しげな舞曲風に始まる第3楽章。
中間部のホルンの響きは、アルプスの峰々に響く角笛を思わせる牧歌的な雰囲気が漂います。


ウィーンフィルのホルン奏者ストランスキーの独奏と、プレヴィン/ウィーンフィルの情感溢れる瑞々しく颯爽としたこの演奏は、

初期のシュトラウスの音楽には、最も相応しいと感じられました。

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