最近聴いたCD

P.チャイコフスキー:序曲『1812年』 

ネーメ・ヤルヴィ指揮  イェーテボリ交響楽団・合唱団他


モスクワで開催される産業芸術博覧会の音楽担当になったニコライ・ルビンスタインの依頼により書かれた作品。

彼からの手紙には、

1)博覧会の開会式のための序曲

2)ロシア皇帝在位25周年を祝う序曲

3)ロシア正教の宗教的雰囲気を表現したカンタータ

以上のいずれかの作品を要望されました。

チャイコフキーは、祭事のために作曲することに難色を示したそうですが、

結局は折り合いをつけて、3)に該当する作品を書き上げました。

タイトルの「1812年」は、ナポレオンのロシア遠征の年を示したもので、

ナポレオン軍の敗北とロシア軍の勝利が、大砲や寺院の鐘(カリヨン)を駆使して描かれており、スペクトラルな内容の音楽に仕上がっています。


1950年代末のドラティ/ミネオポリス響の演奏では、初めて作曲家の指示通りに大砲とカリヨンを使って録音され、曲の人気は一挙にブレーク!

そして1978年、デジタル録音されたカンゼル/シンシナティ響のLPは、

大砲の実射部分が歪みなく、いかに生々しく再現できるか、レコードプレーヤーの試金石として有名な録音になりました。

そんな録音に慣らされた昨今、大砲やカリヨンの音が収録されていないこの曲は、それこそクリープを入れないコーヒー…?(旧過ぎますか!)


今日エントリーするのは、ネーメ・ヤルヴィ指揮するイェーテボリ響の演奏。

この演奏には更におまけが付いていて、原曲では冒頭と最後の部分で楽器によって奏されるロシア正教の聖歌が、合唱団によって歌われるという趣向。

特に冒頭部は、祈りのような厳かな雰囲気が強められて、合唱入りの演奏を聴いてしまうと、オケだけでは物足りなく感じてしまいます。

それに引き換え、途中で登場するフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」が陳腐に聴こえるのは、曲の性格上やむを得ないことでしょう。


2/9の放浪記に書きましたように、CDプレーヤーの修理とともに、インターコネクトケーブルを新しく購入しました。

大砲やカリヨンの音など、この曲以外で再生することはないので、どうでもいいとは思いつつも、

ついついどんな音がするのか知りたくなって…。

満足感に浸りながら、この文章を書いています!

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