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カール・ニールセン:
交響曲第4番『不滅(消し難きもの)」 

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮  サン・フランシスコ交響楽団


デンマークの生んだ作曲家カール・ニールセン(1865-1931)は、同国の100クローネ紙幣(1クローネの対円レートは概ね20円程度)にその肖像画が使われており、

国を代表する作曲家であり、文化的な重鎮として崇められていることが窺い知れます。

彼は数多くの素朴な歌曲や合唱曲を作り、それらは今日でもデンマーク国内の学校や家庭で、広く親しまれている(Wikipediaより)とか。


ただ、代表作とされる6曲の交響曲、ヴァイオリン・フルート・クラリネットの各協奏曲などは、

北欧の自然を思わせる抒情的な側面を聴かせつつも、

全体としては難渋な曲との印象が強く、一聴して惹かれるという類の音楽では(多分)ありません。

今日エントリーする交響曲第4番は、『不滅(消し難きもの)』というタイトルが付けられていることや、

カラヤン/ベルリン・フィルも録音を残していることから、

彼の作品の中では、比較的聴かれる機会が多いものでしょう。


全4楽章は、切れ目なく連続して演奏されますが、

第1楽章は、民族の持つ強靭なエネルギーと北欧の雄大な自然が感じられる音楽。
ティンパニーの刻むリズムに乗って奏される武骨で民族的なエネルギーが、大自然の静寂の中に溶け込むように収束していく、
そんなエンディングは誠に印象的…。

続く第2楽章は、一切の感傷が排された、ありのままの素朴な自然が感じられる音楽。
エンディングで奏されるカッコウの淋し気な鳴き声は、寂寥とした自然を髣髴させます…

第3楽章は、悲痛な叫びと、慈愛に満ちた音楽。
天上からの呼びかけのように聞こえるチューバやホルン音色には、宗教的な神々しささえ漂います。

急速なテンポでカノン風に奏される冒頭部、
左右に配置されたティンパニーの輝かしい競演、
パイプオルガンの響きを思わせる終結部の壮麗さなど、聴きどころは満載の第4楽章。


曲に付けられた副題の『不滅』或いは『消し難きもの』とは、自然の生命力や人間の堅忍不抜の精神力を指すのでしょうか。

感傷的な側面が極力削ぎ落とされているために、とっつき難さはあるのですが、聴くほどに味わいの深まる曲。

ブロムシュテット/サン・フランシスコ管の演奏を聴いて、そんな印象を受けました。

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