最近聴いたCD

R.シューマン:歌曲集『女の愛と生涯』op.42 

アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(メゾソプラノ) 
 ベルンク・フォシュベリ(ピアノ)


フランスの貴族の生まれで、フランス革命後にドイツに亡命した植物学者・詩人のアーデルベルト・フォン・シャミッソーは、

1830年に自身の結婚生活から触発を受けて、詩集「女の愛と生涯」を発表しました。

1840年、クララとの結婚がようやく認められたシューマンは、それを契機にして、堰を切ったかのように数多くの歌曲を作曲しました(歌曲の年)。

シャミッソーの詩に作曲した同名の連作歌曲集も、ちょうどこの時期に書かれたもの。

一目惚れした男性から愛を告白され、結婚して子供にも恵まれた幸せの絶頂期に、愛する夫に先立たれる、

そんな悲しみを歌った分かり易いストーリー性に加え、

ピアノと声楽とが、高度な次元での対等な音楽表現が要求される、大変に人気の高い作品です。


ストーリーを箇条書きにすると、

 第1曲:初めて会った時の印象(一目惚れ)
 第2曲:彼の素晴らしさを讃える歌
 第3曲:愛を告白された喜びと途惑いの感情
 第4曲:贈られた婚約指輪を手にした喜び
 第5曲:結婚を目前に控えた敬虔な気持と喜び
 第6曲:結婚後、子供を身籠ったことの喜び
 第7曲:夫と我が子とともに暮らす幸せ
 第8曲:最愛の人に先立たれた悲しみと、回想

以上のような内容が歌われています。


今日エントリーするのは、オッターとフォシュベリの息の合った共演盤です。

明るく無邪気だった少女が恋に落ち、

愛する人からプロポーズされたことで結婚への敬虔な気持と、夢、希望、そして幸せへの決意を高め、

結婚後の幸福の絶頂期で、最愛の良人を亡くし、失意のままに過ぎ去った日々を回想するという、

そんな心の変遷が、明瞭に、かつロマンティックに表現されていると思います。


少しはにかみながら、彼の素晴らしさを讃えた第2曲や、

敬虔な気持で婚約指輪を見つめながら、溢れる喜びと幸せへの決意を新たにする第4曲は、とりわけ素晴らしいもの。

フェリシー・ロットが歌う、深く内省的な女の生涯、とりわけ後半部の崇高な表現には強く惹かれるのですが、

オッターの表現する女性の方が、自分の好みにあっているという単純な理由と、

フォシュベリのピアノの素晴らしさ、とりわけ第8曲の後半部の思わず涙腺が緩んでしまう独奏部分、

この二点ゆえに、このディスクをエントリーさせていただきました。

ホームページへ