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J.シベリウス:交響的幻想『ポホヨラの娘』 

パーヴォ・ベルグルンド指揮  ボーンマス交響楽団


シベリウス41歳の1906年に、フィンランドの民族抒事詩『カレワラ』にある物語の一つを、交響的幻想曲として完成させた作品。

ポホヨラとは、フィンランドの北にあるとされる架空の地名で、

「ポホヨラの娘」とは、その土地を支配する魔女ロウヒの美しい娘のこと。

シベリウスの作品では、同じ叙事詩を題材にして10年前の1896年に初演された『4つの伝説曲』でも、既に登場している人物です。


伝説上の賢人ヴァイナモイネンが、ポホヨラを旅する途中で、虹に腰をかけた美しい娘に出会い、一目惚れして求婚しますが、

結婚の条件として3つの難題を課せられ、果敢にチャレンジをしたものの、

最後の課題を遂行している時に、悪霊に裏を書かれて傷を負ったために成し得ず、失意のうちに結婚をあきらめて旅を続ける…

そんな内容が描かれた作品です。


冒頭、仄暗い中に浮かび上がる、愛おしさが滲み出るようなチェロが奏でる旋律の美しさは、虹に腰をかけたポホヨラの娘との出会いを表現したものなのでしょうか。

シベリウスの作品中でも、とりわけ印象に刻まれる一場面です!

そんな冒頭に続いては、

北の国ポホヨラの情景、

ヴァイナモネンと娘との仲睦まじい語らい、

敢然と挑戦するヴァイナモネンの雄姿、

彼の失敗とそれを嘲笑う娘の冷ややかさ、

そして失意のうちに旅を続けるヴァイナモネンの憔悴した姿等々…。


今日エントリーするのは、パーヴォ・ベルグルンド指揮するボーンマス交響楽団の演奏。

きびきびとしたテンポで進められる明晰な演奏は、ほのかな北欧の抒情の中に、駆けめぐる走馬灯を思わせるようなファンタジーに富んだもの!

これまでに聴いた『ポホヨラの娘』の中では、ぴか一の演奏と感じました!

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