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F.シューベルト:劇付随音楽『ロザムンデ』 

エリー・アメリング(ソプラノ)
クルト・マズア指揮  ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管・合唱団


シューベルトはその生涯に、歌劇や劇付随音楽を15曲以上も書いているようですが、成功したものは一つとしてなかったようです。

理由は、シューベルトの作風が劇的な展開や緊密な構成を必要とする作品には向いてなかったためと言われますが、

彼自身に台本を選ぶ目が備わっていなかったことも、大きな要因とか…。


『ロザムンデ』は、女流詩人シェジーの作品『キプロスの女王ロザムンデ』に付けられた音楽ですが、劇自体の評判が芳しくなく、初演も含め二度上演されたきりで御蔵入りに…。

しかしシューベルトの没後39年が経過して掘り起こされ、音楽だけが漸く陽の目を見ることになったようです。

但し劇の内容については、台本が失われているために、詳細は不明とか…。

曲を聴きながら、好き勝手に想像を巡らすのも、音楽を聴く楽しみの一つです!


今日エントリーするマズア指揮するライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏では、

「序曲」「間奏曲第1番」「バレー音楽第1番「間奏曲第2番」「ロマンツェ」「亡霊の合唱」「間奏曲第3番」「羊飼いのメロディ」「羊飼いの合唱」「狩人の合唱」「バレー音楽第2番」と、

劇の進行に従って全11曲が収録されたもの。


第1曲「序曲」は、短期間で作曲せざるを得なかったために、以前に書かれた付随音楽の『魔法の竪琴』の序曲をそのまま引用したもの。
劇的なロマンを感じさせる序奏部に続く主部は、月明りに照らされた森の、お伽の国に誘われたような爽やかさ…。
若きシューベルトの初々しい感性が表出された、素晴らしい曲だと思います!

第2曲「間奏曲第1番」は、これから起こるであろう悲劇を予兆させる音楽ですが、シンフォニックで堂々としています。

第3曲「バレー音楽第1番」では、前半の堂々とした高貴さを感じさせるメヌエット風の音楽と、後半のパストラール風の美しい音楽の対比が素晴らしい!

第4曲「間奏曲第2番」では、ひたひたと押し寄せる不穏な運命が…

第5曲「ロマンツェ(満月は輝き)」では、毅然とした態度で悲しみを歌うアメリングの名唱が…。王妃の悲しみを歌ったものなのでしょうか。

第6曲「亡霊の合唱(深みの中に光が)」でのファンタジーに溢れた男声合唱の魅力!

第7曲は、『弦楽四重奏曲第13番』の第2楽章や、『即興曲op.142』の第3番にも登場する有名な曲。
揺蕩ような不安定な心を表現した主旋律と、トリオ部での胸を締め付けられるような木管の美しい旋律…。
こちらを未聴の方は、是非ともお聴きになることをお薦めします!!

第8、9、10曲「羊飼いのメロディ」「羊飼いの合唱」「狩人の合唱」での、パストラール風の伸びやかな旋律の美しさ!

最後の第11曲「バレー音楽第2番」は、「楽興の時第3番」の姉妹曲とも言われる、天真爛漫とした愛らしい曲です。
劇は、多分ハッピーエンドで終了しているのでしょうね!


シューベルトの魅力が満載されたオーケストラ曲として、強くお薦めできる逸品だと思います。

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