14〜5年前に、会社の昼休みに内勤の女性から見せられたビデオからは、むせ返るようなロマンが纏綿とした、映画音楽のような曲が流れてきました。
甘く切ないこのメロディーが、社内の女性の間で評判になっていたそうです。
「聴いたことはないんだけれど、クラシックだとすれば、多分ラフマニノフの曲かもしれない。調べておくわ!」
後日、馴染みのレコード店で交響曲の緩除楽章を試聴して、ラフマニノフの交響曲第2番であることが判明!
作曲家を図星できたお蔭で、辛うじて音楽通の名を汚すことは避けられました…。
一時期、ロシアの指揮者とオーケストラによる濃厚なロマンに溢れた演奏を好んでいましたが、
最近は、淡々とした表現が退屈極まりなく感じられたプレヴィン/ロイヤル・フィルの演奏に、
儚い憧れに満ちた、ロシアンロマンの味わい深さを感じるように、好みが変わってきています。
第1楽章序奏部は、ロシアの大地の夜明けを思わせる音楽。
曲が進むにつれて明るさを増し、
Allegroの主題部では、物語を想起するような音楽が展開されます!
第2楽章のホルンの響きは、草原をかけ巡る騎馬民族の勇壮な姿を!
トリオ部の流麗な旋律には、東洋的な懐かしさを覚えます。
第3楽章は、先ず弦によって儚い憧れが、次いでクラリネットによって物想いに耽る淋しげな表情が…。
プレヴィンの演奏は、聴くほどに味わいが増してきます。
第4楽章は、地平線の彼方から進軍してくるような民謡的な行進曲風の音楽と、
途中テンポが落ちて、大草原に訪れる黄昏時の抒情が…。
壮大な地平線の彼方に沈みゆく落日を想いながら、ひととき感傷に耽らせてくれる曲であり、演奏だと思います。