最近聴いたCD

S.プロコフィエフ:交響曲第1番(古典交響曲) 

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮  モスクワ放送管


ペテルブルグの音楽院の学生だった頃から、急進的な作風で知られたプロコフィエフでしたが、

在学中にハイドンの作曲技法を研究していました。

『古典交響曲』は、「もしもハイドンが現代に生きていれば、このような作品を書きあげたであろう」という想定のもとに、1917年に作曲されたもの。

それまでの前衛的な作風とは異なり、まさにハイドンの作品のように明快で、心が浮き立つように楽しく、ユーモアに富み、かつ典雅な趣をも湛えた音楽なのですが、

ただ、意表を突くように聞こえてくる音色や感覚は、プロコフィエフ作品以外の何物でもありません。


今日エントリーするのは、ロジェストヴェンスキー指揮するモスクワ放送管弦楽団の演奏。

これを聴くと、19年後の1936年に書かれた『ピーターと狼』のように明るく活き活きとしていて、分かり易く、

まるでお伽の国の物語を語るような、ストーリー性が思い浮かんでくる演奏です。


第1楽章の、颯爽と語りかけるような活き活きとしたテンポ、バスーンが刻むユーモラスな表情は、まるでおもちゃの世界に遊ぶような、屈託のない楽しさが感じられる演奏!

第2楽章は、メルヒェンの世界で開かれた舞踏会の世界に迷い込んだような趣の音楽…。
特に冒頭部は、衣擦れの音すら立てない優雅な立ち居振る舞いを思わせ、際立った高貴さが漂います。

第3楽章は、バレー音楽『ロメオとジュリエット』にも使われた旋律。
気どって勿体ぶった表情が印象的な音楽です。

第4楽章は、まるで色とりどりの独楽がめまぐるしく動き回るように、華やかな躍動感に溢れた演奏です。


30年ほど前から、彼のバレー音楽『ロメオとジュリエット』こそ大好きな曲でしたが、

大部分の曲では、その暴力的とも思える響きが生理的に受け付けられず、好きな作曲家とは言えませんでしたが…。

そんな観念を払拭してくれた演奏の一つが、ロジェストヴェンスキーのこのディスク!

プロコフィエフの音楽の多様性が、如実に示された演奏だと思います。

ホームページへ