最近聴いたCD

吉松 隆:プレイアデス舞曲集

田部 京子(ピアノ)


タイトルの「プレイアデス」とは、牡牛座に位置する7つの星からなる小さな星団で、和名は「すばる」!

この数字に因んで、色んな旋法の7つの音を使い、3拍子から9拍子までの7つのリズムを素材にした、7曲からなる舞曲集です。

無調を中心とする現代音楽に反旗を翻した吉松氏ですが、

「小節ごとに変化する拍子」「不規則な音の運び」といった現代音楽の特徴を有した作品でもあります。

ただ、それらは決して難解な印象を与えるものではなく、

調性音楽として書かれた繊細で洗練された美しさに加え、揺れるようなリズム感からは、恰も過去や未来の時空をさまよう、夢のような音楽と聴こえます。


しかし吉松氏自身は、

「どちらかと言うとメカニックな作り方(コンピューターで作った部分もあるそうです)をした曲で、情感を込めて作曲したのではない」

そのように発言されているようです。

氏の作曲の意図を知るつもりはありませんが、そのような曲が、今日エントリーする田部京子の演奏では、優しく、慈しむように奏でられることによって、透明なリリシズムに溢れた、究極の癒しの音楽と聴き取れるのです。


このディスクには、第1〜5集までの計35曲(ほぼ65分)が収録されていますが、全曲を通して聴くことは、私には退屈過ぎてとても出来ません。

でも一曲一曲は、それぞれが上述したように素晴らし癒し系の音楽!気分が憂鬱で、「音楽を聴く気になれない…」と思いながらも、ふとスピーカーの前に座った時、よく取り出すのがこのディスク。

今日は「さりげない前奏曲」「左寄りの舞曲」「球形のロマンス」「右寄りの舞曲」「聖歌の聞こえる前奏曲」「過去形のロマンス」「多少華やかな遠舞曲」からなる第3集を聴いて、打ち止め!

タイトルには、何ら特別な意味はないようです。

10分そこそこの時間でしたが、気分は少し明るくなってきました!

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