前年にF.リストの尽力によって交響曲第1番が初演された際に知遇を得て、彼の交響詩に倣って書かれたようです。
1654〜67年にロシアとポーランドでと闘われた戦争(13年戦争)が長引き、そのために民衆に対する徴税・徴兵の負担が一層強化されたために、食うや食わずのどん底の状態に陥りました。
そんな貧困に苦しむ人々を救済するために、支配者である王侯貴族や官僚に反旗を翻し、彼らからはもとより、ペルシャにまで出向いてまで略奪行為を行ったラージンを、
ロシアの民衆が救世主と崇めたことは、民衆にとってはいかに悲惨な社会情勢であったかが、推し量れるように思えます。
この曲は、そんなラージンの英雄としての側面を謳い上げた音楽です。
この民謡をテーマにして、ラージンの進軍の様子が描かれた、ロシア国民学派の香りに満ちた一種の変奏曲のような作品です。
途中、略奪したペルシャの姫を表わす(のであろう)旋律は、リムスキー=コルサコフを髣髴とさせます。
この曲、ネットで検索していると、何とフルトヴェングラーがベルリンフィルを1938年に指揮した録音を発見!
冒頭部の、歴史の暗部を如実に表現したような凄絶な演奏に、度肝を抜かれてしまいました!
それには及びませんが、クリメッツの演奏は、ロシア色に溢れたもの。
十二分に楽しめるものだと思います!