最近聴いたCD

W.A.モーツァルト:
交響曲第31番 K.297(パリ交響曲) 

ヨーゼフ・クリップス指揮  ロイヤル・コンセルトヘボウ管


1778年の3〜9月の間、パリに滞在したモーツァルトですが、

世事には疎かったために、パリの華やかな社交界のしたたかな貴族たちに翻弄されて、満足な地位・名誉・富のいずれをも得ることはできませんでした。

例えば、パリに到着後に知遇を得た音楽好きの侯爵とその令嬢のために作曲した『フルートとハープのための協奏曲(K.299)』も、当てにしていた作曲料を支払ってもらえなかったとか。


そんなパリ時代の、数少ない成果の一つが「パリ交響曲」と呼ばれる交響曲第31番。

パリのコンセール・スピリチュエルというオーケストラの支配人の依頼で4年振りに書かれたこの交響曲は、

パリの聴衆を意識した明るく力強いもので、

彼の作品には珍しく推敲が重ねられ(とは言っても2週間ほど)、

楽器編成も依頼主のオケの規模に合わせた大規模なものとなりました。

初演はモーツァルトの目論見通り大好評で、とりわけ第1、3楽章では、華やかさに酔った聴衆の歓喜の拍手が鳴りやまなかったとか…。


今日エントリーする演奏は、ヨーゼフ・クリップス指揮するロイヤル・コンセルトヘボウによるもの。

初演時の聴衆の熱狂ぶりが彷彿できそうな、素晴らしい演奏です。

第1楽章は、見るもの触れるもの全てが新鮮に映り、血沸き肉躍るような心からの喜びが感じられる、そんな感慨を有した音楽です。
夢と希望に胸ふくらませて、再び花の都を訪れたモーツァルトの率直な喜びが表現されているのでしょうか…。
クリップスの演奏からは、そんな愉悦が感じられ、心が浮き立つような爽快感を覚えます。

第2楽章は、前楽章の愉悦を漂ったまま、ちょっと余所行きの佇まいを感じさせる音楽に、愛くるしく親しみを覚えます。
度々の転調からは、勿体ぶった厳めしさが感じられて、より親しみが湧いてきます…。

第3楽章のフガート部は、限りない広がりに向かって、心が自由に羽ばたくような感慨が…。

この曲に限らず、彼の書いたフーガやフガートを聴くと、いつも無限に広がる世界に向かって羽ばたくような、そんなファンタジーを感じるのです!


通販の安価なボックスセットで入手したモーツァルトの中・後期の交響曲を網羅したこの演奏、

これ1曲を聴くだけでも、十分に元が取れたと思っています。

ホームページへ