S字曲線や、異国趣味による優美さ・軽快さ・繊細さを特徴とする」とされています。
この曲は、チャイコフスキーが自作したロココ風の主題と、それをもとにした7つの変奏曲によって構成されています。
チャイコフスキー作品の中では印象的な旋律に乏しく、決して人気のある作品とは思えなかったのですが、
LP時代には、人気の高いドヴォルザークのチェロ協奏曲と組み合わされることの多い作品でしたから、
好き嫌いは別として、聴いたことのある人はかなり多かったのではないかと思います…。
もっともカップリングの理由が、独奏チェロとオーケストラのために書かれた有名曲が少ないことと、
演奏時間が10分台の後半で、メインのそれと合わせると60分前後と、LP1枚分としては過不足のない収録時間になるために、
フィル・アップ用に重用されたのだとか…。
この曲を聴くようになったのは、「変奏曲」というものに興味を持ち始めるようになってからのことでした。
何の変哲もない主題が、変奏を重ねながら、時に素晴らしい輝きを放つ楽曲に変化すること、
そして、曲の素晴らしさを紐解いてくれるのが、他の曲以上に演奏者の卓抜な資質であること、
そんなことが、おぼろげながら理解できるようになってからのことでした。
ロストロポーヴィッチのチェロと小沢征爾/ボストン交響楽団による演奏では、
雅な弦やホルンの響きに導かれて、独奏チェロが主題を提示する冒頭の部分、
その主題が、憂愁を湛えつつ美しく歌われる第3変奏、
第5変奏での慟哭するようなチェロのカデンッオ等、
変化の多様さと演奏の素晴らしさを堪能できるのですが、
ロココ風の主題が、ロシア民謡へと変化したような第6変奏では、その変貌の鮮やかさに、とりわけ大きな感動を受けました。
各変奏の特徴を的確にとらえたロストロポーヴィッチの演奏は、さすがに味わい深い素晴らしいものだと思います!