最近聴いたCD

エドゥアール・ラロ:スペイン交響曲 

イツァーク・パールマン
ロリン・マゼール指揮  パリ管弦楽団


フランスの作曲家エドゥアール・ラロ(1823-1892)は、祖父の代まではスペイン人でした。

スペイン交響曲は、そんな血を受け継いだラロが、1874年に作曲した5楽章の作品この作品は、スペインの生んだ名ヴァイオリニストのサラサーテのために書かれたもの。

交響曲と題されるものの、

全曲を通してソロヴァイオリンがイニシァティブを握る、実質的には協奏曲と言ってもよいでしょう。

そして曲名通りに、全5楽章にスペイン情緒が色濃く溢れた作品です。


第1楽章冒頭、印象的なダイナミックなリズムがオーケストラで奏でられたあと、
ソロヴァイオリンが、情緒纏綿とスペインの雰囲気を湛えて登場。
第2主題から展開部へと曲が進むにつれ、装飾を施した魅惑的な旋律が横溢して、
スペイン情緒はますます深まっていきます…。

第2楽章は、弦のピチカートが民族舞踊ホタを思わせる華やかなリズムを刻み、
媚びるようにソロヴァイオリンによる官能的な旋律が登場します…。

第3楽章(間奏曲)冒頭は、オーケストラが叩きつけるような動機を提示、弱々しく返答された後、
ソロヴァイオリンが切なく妖艶に、ハバネラのリズムを奏でます。
中間部では、ソロヴァイオリンが華々しく活躍…。
スペイン情緒が全開したような楽章です。

第4楽章は、立ち込める靄を思わせるオーケストラの響きの中から、感傷的に奏でられるソロヴァイオリン…。
この楽章中には、メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲ホ短調』の第2楽章(1844年作)や、
曲を献呈されたサラサーテが、その後(1878年)に作曲した『ツィゴイネルワイゼン』を髣髴させる旋律が登場します…。

第5楽章冒頭は、遠くで聴こえる鐘の音に始まり、
途中ハバネラ風の緩やかな旋律を挟ながら楽しげな祭りの雰囲気は盛り上がり、
やがて最高潮に達します!


華やかさ!情熱!纏綿たる情緒!そして全曲を通して感じられる、祖父の地への望郷の念!

大変に魅力的な作品なのすが、最近聴く機会がなくなったように思います…。

ホームページへ