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ヘンリク・ヴィエニャフスキ:
ヴァイオリン協奏曲第1番 

ギル・シャハム(ヴァイオリン)
ローレン・フォスター指揮  ロンドン交響楽団


サラサーテ(スペイン)やパガニーニ(イタリア)と並ぶ19世紀のポーランドが生んだ名ヴァイオリニストのひとり。

演奏家としては驚異的な技巧と情熱感溢れる華麗さで知られ、

作品は演奏スタイルが反映された超絶的な技巧を駆使した華麗さと同時に、

25歳からの10数年間、ペテルブルグの宮廷ヴァイオリニストとして活躍した影響か、スラブ的な情緒をも吸収した哀愁ある美しい旋律を特徴としています。

彼は2曲のヴァイオリン協奏曲を残しましたが、今日エントリーするのは18歳の時に書かれた第1番の方。

情熱的にこれでもかとばかりに技巧が誇示されますが、その旋律は大変に馴染み易く、

まるで嘗ての長島選手のプレーを観て、そのパフォーマンスに思わず拍手したことに通じるような、

華やか且つ爽快な感動を与えてくれる曲だと思います。


第1楽章冒頭、木管によってためらいがちに奏される第1主題、
そして万感の思いを込めたチェロが優しく奏する第2主題を聴いただけで、
異性への燃えるような想いが込められた情熱が伝わってきます。
相反する情熱がせめぎ合ったり、優しく寄り添ったりしながら展開し、
カデンツォで駆使される困難な技巧は、恋に悩み苦しむ若者の姿がそのまま音楽として表現されているように感じられます!

第2楽章の甘美な歌には、官能をくすぐるような蠱惑的な音色が感じられます。

華麗なファンファーレに導かれて開始される第3楽章は、ロマの情熱を想わせつつ、華やかな舞曲が展開されます。
中間部では、意外にも落ち着いた素朴さが感じられますが、
後半に入るとより哀愁を帯びつつも、やや不完全燃焼のような物足りなさを残して曲は終わります。


Wikipediaにも書かれていますが、

濃密で技術的要求の高い第1楽章と、やや物足りなさが感じられるその後の楽章との釣り合いが取れていないために、

演奏される頻度は第2番と比較しても少ないと言われます。

それでも、前述したように明快で馴染み易く且つ情熱的なこの曲を聴くと、

ふと青春時代を思いだして、若々しい気分になるのです。

この曲、今日エントリーした演奏しか記憶にないのですが、

シャハムの美しい音色と、スポーツ感覚に溢れた超絶技巧は、

瑞々しさに溢れたこの曲に、相応しい演奏だと思いました。

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