最近聴いたCD

ジュール・マスネ
管弦楽組曲第4番『絵のような風景』 

ジョン・エリオット・ガーディナー指揮  
モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団


マスネ(1842-1912)の代表作と言えばやはり歌劇で、中でも『マノン』『ウェルテル』『タイス』等は、オペラ通の方にはよく聴かれているようですが、

その方面に疎い私は、せいぜい歌劇『タイス』の中の「瞑想曲」と、後は2〜3の管弦楽組曲を聴く程度です。

彼は7つの管弦楽組曲を書きましたが、その内2〜7番までには「○○の風景」というタイトルが付けられており、

それぞれが土地の風物詩を描いた作品のようです。

今日エントリーする第4番『Scenes Pittoresques(絵の様な風景)』も、タイトル通りに、ある地方の美しく楽しい風物詩を描いた作品と思われます。


第1曲「行進曲」
様にならないけど愛らしく、どこかとぼけた味わいのある楽しい音楽。

第2曲「バレーの調べ」
弦のピチカートに乗って、ワルツが格調高く開始されるますが、
それに反して踊り手は野暮ったく、ちょっと皮肉っぽいユーモアが…

第3曲「夕べの鐘」
鐘の音を模した印象的なホルンの響きで開始されるこの曲は、
澄み切った青空のもとで執り行われる婚礼の、敬虔な雰囲気が描写されているようです。

感極まって打ち震える花嫁の無垢な心を表わす、愛おしくも甘美な旋律は、
有名な『タイスの瞑想曲』と並び、宗教的な法悦を感じさせる傑作だと思います!

第4曲「ジプシーの祭り」
ファンファーレが鳴り響き、華やかに、そして楽しげに踊る人々の様子が目に浮かびます。


マスネの歌劇については、「時代遅れで、深みに欠けるサロン風音楽」「ご婦人へのご機嫌とりの音楽」などと批判も多かったようです。

私が知る範囲の管弦楽組曲も、確かに深みのある音楽とは思えませんが、

表現によっては、何とも言えない素朴な味わい深い音楽と思えるのです。

その点において、ガーディナー指揮するモンテカルロ国立歌劇場管の演奏は、フランスの地方の鄙びた雰囲気が原寸大で表現されていて、随所に曲の魅力が感じられます。

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