マーラーの直弟子であり、20世紀前~中期にわたり活躍した大指揮者ブルーノ・ワルターが、この交響曲の性格について語った言葉です。
当初は『子供の不思議な角笛』の歌詞が引用された歌曲「天上の喜び」を『交響曲第3番』の第7楽章に引用しようと考えたマーラーでしたが、6楽章までで既に演奏時間が100分にも及ぶ長大さのために断念。
新たにこれを終楽章に置く交響曲をプランニングし、遡って1~3楽章を完成させたのが、交響曲第4番でした!
作曲の経緯からも、大らかな自然賛歌とも思える第3番の姉妹作なのであろうこの曲は、
純粋無垢な子供の心を通じて、万物の創造主たる神のおわす、天上への憧れを歌ったものなのでしょうか…。
今日エントリーするのは、ホーレンシュタイン指揮するロンドン・フィルの演奏。
テンポを殆ど揺らさず、一点一画もおろそかにしない、しかし大らかに語られるこの演奏からは、
一つ一つのフレーズから、深山幽谷に湧き出る泉のように、一点の曇りもない清冽なメルヘンの世界が広がるように感じます!
フルートと鈴の音で開始される第1楽章は、冒頭からいきなり愉しげなメルヘンの世界に誘われていきます。
この楽章、幼い子供が未知のものに出遭った時のサプライズや、
湧きおこる好奇心がそのまま音楽化されたような、
無垢な心の表出を感じるのです。
第2楽章では、ちょっと怖いお話の世界を垣間見るような体験…。
マーラー特有のパロディーでしょうか…。
第3楽章は、大方が静謐さに支配された音楽。
天上の世界とは、この曲によってもたらされるような感慨を抱ける所なのでしょうか。
耽美的な演奏とは一線を画した、素晴らしい音楽が展開されます!
第4楽章は、歌詞から、「生々しい欲望を感じる」とおっしゃった方がいらっしゃいましたが、マーラーの音楽は、あくまでも素朴な子供の夢物語!
これまでに私が聴いた10種類ほどの演奏の中では、 まさに名人芸とも言える、見事なものだと思いました。