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J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1番 

トレヴァー・ピノック指揮  イングリシュ・コンサート


ベルリンの国立図書館に残されている『ブランデンブルク協奏曲(全6曲)』の自筆譜には、フランス語で「種々の楽器による協奏曲集」と記されており、バッハ自身が命名した曲名ではなく、

後世の音楽学者が、献呈されたブランデンブルク=シュヴェート辺境伯クリスティアン・ルートヴィヒに因んで名づけたものです。

しかし、元来ブランデンブルク伯のために作曲されたものではなく、既に完成されていた作品から、管弦楽曲の自信作を選んだというのが定説となっています。


ケーテンの宮廷楽団に就職して、楽師長として順風満帆なスタートを切ったバッハでしたが、

雇用主の新妻が音楽嫌いだったとか、軍備拡張が必要とされたとか、

いずれにしても就任後に楽団の規模が縮小され、自らもリストラの危機を感じたために、

新たな就職先の候補としておもねるために献呈したというのがもっぱらの定説となっています。

自身の多彩な才能を誇示し、就活を有利にするためなのか、献呈された作品は、実に多様性に富んだものとなりました。

ただこの就活は失敗に終わりましたが、2年後の1723年にはライプツィヒの聖トーマス教会の音楽監督に就任。

教会音楽を中心とした、幅広い創作活動を続けることになります。

尚、作曲された年代は、バッハ自身がこの曲集に付けた番号とは異なり、第3・6・1・2・4・5番の順となっています。


6曲それぞれに異なった味わいが感じられる曲集。

曲ごとに私の好みの演奏が異なるのですが、

今日エントリーする第1番は、ピノック指揮するイングリッシュ・コンサートの、ピリオド楽器による演奏が、私のお薦め!

これまで聴いてきた現代楽器による演奏では、とりわけ第2楽章のオーボエが奏する典雅な味わいに強く惹かれつつも、

全曲を通すと今一つしっくりしなかったのですが、

ピノック盤の全4楽章から聴き取れる、牧歌的で野趣を帯びた鄙びた味わいが、

第1番の曲想により合致しているように思われて、強く心に残るのです。

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