そして大自然の中に生息する鳥たちの多彩な鳴き声にとりわけ興味を示し、
パリ音楽院に在学する若い頃からそれらを分析し、採譜していたと言われています。
彼の作品は、単に鳴き声の模倣にとどまらず、生態をも表現することによって、神の偉大な創造物である大自然を描くことにあったと言われています。
今日エントリーする管弦楽とピアノ独奏のための作品『鳥たちの目覚め』は、1953年に作曲されたもの。
スコアには、「この譜面には鳥の歌声しかない。すべては森で聴いた完全な本物である」と書かれており、
当初は作品中の一語法であった鳥の歌が、曲のテーマそのものとなった最初の作品です。
「真夜中」「午前4時」「朝の歌」の3部が、休みなく連続して演奏されますが、
メシアンという音楽家の感性を通して忠実に描かれた、森に響く鳥たちの鳴き声や生態から、
時を追って変化する大自然の営みが、リアルに伝わってきます。
実際私のように、森の中で木々に囲まれて生活する者にとっては、この音楽は周囲から聴こえてくる鳥たちの営みそのもの!
窓を開け放って聴いていると、
自然界の音と、スピーカーから流れてくる演奏とが完全にシンクロして、区別がつかなくなってきます。
ピアノ、弦、木管、時に金管楽器の奏する鳥たちの声や動きが、手に取るように見えてくるような錯覚に陥ります。
この曲の演奏は、唯一エマールのピアノ、ブーレーズ指揮するクリーヴランド管弦楽団の演奏を聴いただけで、他の演奏と比較したことはないのですが、
このフランス人ピアニストとクリーヴランド管の繊細で瑞々しさには、強く惹かれます。
蒸し暑かった今日の午後も、老犬たちの夏バテを心配しつつ、少しばかり涼しくした部屋に入ってこの曲を聴きました。私にとっての、癒しの20世紀音楽です!