最近聴いたCD

エドヴァルド・グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 op.16

ラドゥ・ルプー(P)
アンドレ・プレヴィン指揮  ロンドン交響楽団


昨日・一昨日と「やれやれ、やっと秋の気配が漂い始めたか」と一息ついたのに、今日はまた暑さがぶり返してきました。

とにかく蒸し暑いのです。

木陰に入っても、いつもの年のように、汗が退いていくというわけにはいきません。

この気候、陽の当らない部屋なら人間は扇風機だけでも対処できるのですが、

老犬たちの体力の消耗を少しでも防ぐためには、昼前になるとエアコンのスウィッチをオンに…。


こんな日に、明らかに涼を求めて聴いた、ルプーのピアノとプレヴィン指揮するロンドン交響楽団のグリーグのピアノ協奏曲の第1楽章冒頭部、

いきなりクレッシェンドしながら轟き渡るティンパニーの音色は、フィヨルドの垂直の岩壁を崩落していく壮大な滝を髣髴するような…。

とにかく爽快な音楽です!


前年、いとこであり声楽家のニーナ・ハーゲルップと結婚したばかりのグリーグ25歳の若き日の作品。

第1楽章は、幸せで充実した日々を思わせるように、
ルプーのピアノが奏でる柔らかい抒情と、
白夜の空に揺れ輝くオーロラを思わせるようなニュアンス豊かなオーケストラとの、
絶妙な掛け合いの美しさが印象的!

第2楽章、弦楽器によるメランコリーな旋律が柔らかく奏でられた後、
繊細に心に響いてくるピアノの一音一音の美しさは、ルプーの真骨頂ではないでしょうか!
牧歌的なホルンの響きと溶けあう抒情的な美しさは、とりわけ素晴らしいものです…。

明るく楽しげな民族舞曲を思わせる第3楽章第1主題と、
北欧の澄みきった大気を思わせる哀愁を含んだフルートの第2主題、
それを引き継いだピアノの奏でる旋律に、寄り添うように絡むオーケストラの繊細な美しさ!

北欧の自然の穏やかな側面が伝わってくる、リリシズムに溢れた演奏だと思います。

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